IBMが語る次世代データセンター
世界中に“ミニクラウド”ができる未来
2008/02/26
巨大なコンピューティングリソースを持つ“クラウド”が世界中にデータ処理結果を配信する。世界に現在ある多くのコンピュータはクラウドの表示装置になる――現在議論されているクラウドコンピューティングがさらに発展した世界はこうなるかもしれない。「世界に“コンピュータ”は5つあれば足りる」という議論もあるほどだ。しかし、米IBMでクラウドコンピューティングを担当するストラテジー・バイスプレジデントのウィリー・チゥ(Willy Chiu)氏によると、クラウドは世界中にできるらしい。
IBMはクラウドを構築するためのインフラ提供の先駆者だ。メインフレームをはじめとするハードウェアを持ち、ミドルウェアやデータベース、管理ソフトウェアも多彩で歴史ある製品を持つ。クラウドと呼ばれる前、ユーティリティコンピューティングやグリッドコンピューティングが議論されていた時代から新しいコンピューティング環境を研究し、実ビジネスに投入してきた。「IBMにとってはクラウドは新しいものではない」(チゥ氏)のだ。
米IBMのIBMソフトウェア・グループ ハイ・パフォーマンス・オンデマンド・ソリューションズ担当 ストラテジー・バイス・プレジデントのウィリー・チゥ氏実際、IBMはクラウドコンピューティングのプラットフォームを「Blue Cloud」として発表し、すでに展開を始めている。中国やベトナムで実稼働の実績がある。またGoogleとは共同で学生向けのクラウドコンピューティングを提供するなどの活動を行っている。
クラウドを推し進めるのはCGMの盛り上がりとモバイル環境の広がり、IT投資コストに対する顧客の厳しい目だとチゥ氏は語る。すばらしいアイデアがあっても新興企業がいきなり高信頼で高いスケーラビリティを持つプラットフォームを立ち上げるのは難しい。そのためクラウドから低コストでリソースを得ようとする。Amazon Webサービス、セールスフォースなどはこのエリアを狙っている。だが、いまはIT企業だけでなく、一般企業でもクラウドへの関心が高まっている。SaaSプラットフォームとして既存のデータセンターをアップグレードできないかという思いだ。
Amazon WebサービスなどWeb中心のクラウドがダイナミック性、アクセスの容易性、情報共有、トラフィックの最適化、スケーラブルなどの特徴を持つとすれば、現在の企業のデータセンターはミッションクリティカルに耐えるトランザクション性能やセキュリティ機能などが特徴。チゥ氏はこの2つを組み合わせた「次世代エンタープライズ・データセンター」がクラウドの本命と見ている。単にデータの保管庫、リソースの提供だけでなく、IBMが培ったデータ保全機能や運用管理機能、仮想化技術、セキュリティ機能、SLA、幅広いアプリケーション対応などが主要機能となる。IBMの仕事はこのような次世代エンタープライズ・データセンター構築のノウハウを顧客やパートナーに提供することだ。
IBMが考える次世代エンタープライズ・データセンターIBMが提唱する次世代エンタープライズ・データセンターは「現在のデータセンターを拡張していくということ」とチゥ氏は語る。データセンターの統合を顧客に提案することもあるが、地理的な特性や業界の特性を考慮し、“ミニクラウド”ともいうべき高機能なデータセンターが世界にたくさんできることを想定している。一般企業向けを考えるとさまざまな企業のデータやトランザクションが混在する大規模なクラウドは受け入れられないと判断しているようだ。チゥ氏は「次世代エンタープライズ・データセンターは、その企業の中に作ってもいいし、既存のデータセンターの中に作ってもいい。それによってダイナミックな構成変更や管理の効率性というメリットが得られる」と話した。
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