グーグルに勝てるか

無償グループウェア付き、MS渾身の「Office Live」を使ってみた

2008/03/06

 マイクロソフトが10人規模の中小企業を対象にしたSaaS型のネットサービス「Microsoft Office Live Small Business 日本語版」を3月6日に開始した。14カ月のベータ期間を経て、ユーザーニーズに合わせてチューンアップした自信作だ。ネットを使った業務アプリケーション、コラボレーションツールはグーグルの「Google App」などが有名。Office Liveはユーザーに使ってもらえるだろうか。

 ベータ版(参考記事: 無料ドメインにメール、「Microsoft Office Live」を忘れていないか)と今回の正式版の最大の違いは、機能によってエディションを分けるのではなく、1製品に統合したこと。標準機能を無償で提供し、オプション機能を有料とした。エディションを迷うことなく、「まずは無料から始めて、必要に応じて有料オプションを利用してもらえる」(同社インフォメーションワーカービジネス本部 シニアプロダクトマネージャの鍵山仁一氏)ということが可能になった。

 ドメインについての方針も変更した。ベータ版はどのエディションでも独自ドメインを取得し、Webサイトや電子メールを独自ドメインで運営できるのを1 つの売りにしていた。しかも、ドメインの更新料はマイクロソフトが負担するという太っ腹な要件だった。だが、正式版では“abc.web.officelive.com”のような「officelive.com」のサブドメインのみが無償で利用でき、com、net、org、infoの汎用ドメインは年間2020円の更新料を徴収するようにした(初年度は無料)。一見、サービス内容が後退したようにも思えるが、鍵山氏は「ベータ版利用の顧客からはドメインの管理が煩雑、登録者の情報を公開するのが不安などの声があった」と説明。これらの問題を解決するためにサブドメインの取得を標準にしたと説明した。

 正式版の機能の一覧は下記。ベータ版で無償だった独自ドメインの運用はなくなったが、その分、ベータ版では有償で提供する予定だったグループウェア「GroupBoard」や顧客管理ツールの「Contact Manager」を無償で使えるようにした。登録後30日間の無料電話サポートも用意した。30日以降は電子メールで問い合わせを受け付ける。

officelive06.jpg

情報発信、コラボレーション機能は

 情報発信、コラボレーションの2つに絞ってOffice Liveの機能を説明してみよう。まずはWebサイトで Office Liveのユーザー登録をする。正式版からWindows Live IDでログインできるようになり、わずか3ステップで機能を利用できるようになった。トップページはユーザーの目的別にメニューが分かれている。 Office Liveで何ができるのかを理解していれば迷うことはないだろう。

officelive01.jpg Office Liveのトップページ

 Webサイトの構築はベータ版と同様に専用のネットツール「Office Live Site Designer」を使う。Webブラウザで利用できるツールで、「WordやNotepadで編集している感じでサイトをデザインできる」(鍵山氏)のが特徴。複数のテーマやスタイルが用意されていて、選ぶだけでWebサイトの骨格を作成できる。その骨格に対してテキストや画像、会社のロゴを当てはめればサイトが完成するようになっている。無償で保存できるデータ容量は500MBまで。

officelive02.jpg Office Live Site Designer

 制約はあるが、一般的な見栄えのWebページなら十分に作成できるだけの機能はある。開設したWebサイトにどのくらいのアクセスがあったかなどのレポート機能もある。正式版では一般的なWebサイトデザインツールで作成したHTMLファイルのアップロードにも対応した(Office Live Site Designerとの併用は不可)。

 電子メール機能はWindows Live Hotmailと共通。取得したドメインで100個までメールアカウントを発行できる。アカウント1つ当たり5GBのデータ容量が利用可能。ローカルアプリケーションの「Microsoft Outlook」でメールを受信することもできる。後述する顧客管理ツールの「Contact Manager」と連携し、顧客に対してダイレクトメールを送信するオプション機能もある。

officelive03.jpg Office Liveのメール機能

洗練さはないが機能は豊富

 コラボレーション機能はベータ版では有償で提供予定だった機能が多い。その1つがグループウェアの「GroupBoard Workspace 3.0」。日本で独自に開発したグループウェアでスケジューラや行き先掲示板、電話メモ、回覧板、タイムカードなど日本企業の現状に合致した機能を搭載している。Googleカレンダーなどに比べるとインターフェイスは洗練されていないが、機能は豊富だ。カスタマイズすれば使いやすくなるだろう。

officelive04.jpg GroupBoard Workspace 3.0

 メンバー間でファイルを共有したり、プロジェクトのスケジュール共用、掲示板、Wikiなどが利用できる「チーム ワークスペース」もある。チームワークスペースは「Windows SharePoint Services 3.0」がベース。また、顧客の連絡先や業務上のやり取りの履歴を一元的に管理できる顧客管理ツール「Contact Manager」も標準で利用できる。開設したWebサイトの問い合わせフォームから送られたメールを自動で登録することなどもできる。

officelive05.jpg チーム ワークスペース

 GroupBoard、チーム ワークスペース、Contact Managerは合わせて50MBまでしかデータ容量を標準で利用できず、本格的に利用するには有料オプションを購入することになるだろう。価格は1GBで月額670円などとなっている。また標準で利用できるのは5ユーザーまで。Windows Live IDで認証する。利用するユーザー数もオプション購入で増やすことができる。10ユーザー追加する場合で、月2020円など。

大成功アプリがネックに

 マイクロソフトはOffice Liveに対して広告を配信することで、サービスの無償化を実現している。同社はクライアントアプリケーションとWebのサービスを組み合わせる「Software+Service」戦略を進めているが、Office Liveを使った感想は「マイクロソフトはWebサービスでも高い品質の製品を出してくる」ということ。豊富な資金や高い技術力を背景に、革新的ではないが堅実なサービスを開発する力は随一だ。

 Office Liveの正式版では「Macで使えない」というユーザーの声に応えて、Internet ExplorerのほかにMozilla Firefox 2.0にも対応した(ただ3月6日現在、筆者環境のFirefox 2.0.0.12ではログインできなかった)。また、米国ではオンラインにWordやExcelの文書を保存、共有できる「Office Live Workspace」( 参考記事)を発表するなど、ユーザーの動向を意識してWebサービスの展開を加速させている(Office Live Workspaceの日本での展開は未定)。Microsoft Officeなど大成功しているクライアントアプリケーションの存在がなければ、マイクロソフトはさらに面白いWebサービスを出してくるのではないかとも思うのだが、それは自社の否定にもつながり、なかなか採れない戦略なのだろうか。

(@IT 垣内郁栄)

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