DWH分野でNo.1になりたい〜テラデータ吉川社長プライベートカンファレンス「Teradata Universe Tokyo」を開催

» 2008年03月07日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 日本テラデータは3月7日、プライベートカンファレンス「Teradata Universe Tokyo 2008」を開催。米テラデータ・コーポレーション 社長兼CEO マイク・コーラー(Mike Koehler)氏と、日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏が報道関係者向けに同社の最新情報を説明した。

今後はコンサルタントを拡充し、SASとの連携も具体化していく

 米テラデータは2007年に米NCRから分社・独立し、ニューヨーク証券取引所に上場。2007年の売上高は前年比10%増の17億200万ドルだった。売り上げの内訳は、ソフトウェアとハードウェアを合わせた製品部分が8億8400万ドルで約52%、プロフェッショナルサービス&実装サービスが4億5100万ドルで約26%、サポート・サービスが3億6700万ドルで約22%だった。地域別に見ると、南北アメリカが売上構成比率57%で粗利率58%、欧州中東アフリカ地域が同25%で同49%、アジア太平洋および日本が同18%で同51%だった。

コーラー氏写真 米Teradata Corporation 社長兼CEO マイク・コーラー氏

 コーラー氏は、「製品が売り上げの2分の1で、プロフェッショナルサービスとサポートが4分の1となっており、よい売上構成だ。今後は、プロフェッショナルサービス部分をもっと伸ばしていきたい」と説明した。

 コーラー氏は昨今のビジネス状況について、「リーダー企業の競合力は分析能力で決まってきている」と指摘。さらにビジネスインテリジェンス(BI)が企業のバックオフィスからフロントオフィスへ拡大してきていると説明したものの、「BIに投資するだけでは不十分だ。現在の企業データはさまざまな所に分散している。これらのデータをエンタープライズデータウェハウス(EDW)で統合し、一箇所に集めることがよりBIを有効活用できる元となるはずだ」と語り、企業に散在するデータを一度DWHに集約することが重要だと説明した。

 今後の方針では、まずコンサルタントを拡充させるという。コンサルタントはビジネスコンサルタントとテクノロジコンサルタントを増員するという。コーラー氏は「過去3年間でコンサルタントを60%増員した。今後も継続して増員していく」とした。また、SASやマイクロソフト、SAP、オラクルといったパートナーとの連携も強化していく。中でも「SASとのパートナーシップは重要だ。なぜなら、SASとテラデータの両方を利用しているユーザーが多いからだ。このため、両製品の連携力が高まれば、これらのユーザーにとってのメリットはとても大きいものになる」(コーラー氏)と説明した。

まずはDWH分野のNo.1になりたい〜吉川社長

 続いて、日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏に話を聞いた。

吉川氏写真 日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏

 吉川氏は、日本テラデータは2007年通期で売り上げが2桁の伸びだったとした。売り上げが伸長した背景には、新規顧客としてみずほ銀行や岩手銀行、JALカードや楽天などを獲得した点が大きいという。中でも吉川社長は、「従来より、当社は金融や流通に強いのだが、いままで得意としていなかった製造業の顧客が現れ始めた点が大きい」とした。

 製造業分野へは、日本のみならずワールドワイドで対応を強化しており、業績管理など業界標準機能におけるテンプレートの提供なども始めており、今後もさまざまな施策を用意し、製造業に力を入れていく。また、日本でも100テラバイトを超えるユーザーが登場した。ワールドワイドではすでに1ペタバイトを超えるユーザーが現れているものの、「システム的には4ペタバイトまで対応できるので、まだまだデータ容量的には大丈夫」(吉川氏)と語り、昨今データ取扱量が爆発的に増えているものの、まだまだ対応は可能だとした。

 製造業におけるDWHの具体的な利用法では、リコール時におけるトレーサビリティなどが挙げられるという。例えば、Aという自動車のBという部品が原因でリコールが起きた場合、「Bが組み込まれているAに乗っているCさん」を探し当ててサポートしなければならない。しかし、従来のケースでは、工場の部品データベースと、販売店のデータベースがリンクしていないケースが多く、上記のようなケースをトレースすることが難しかったという。その点、これらのデータベースをDWHで統合し、1つのDWH上で運用すれば、このようなケースでも容易にトレースすることができるとした。

 吉川氏は、「従来の部署ごとにデータマートを大量に作り、部署ごとに運営するやり方だと、データマートが増えてしまってそれらを統合することが難しかった。最近では、『AとBというシステムデータを統合できなくて困っている』とユーザー側から当社に声を掛けられてくるケースも多い。ユーザーもデータ統合の重要性を分かり始めている」と説明した。

 今後は先述の製造業の強化に加え、NGNなどにより取り扱いデータの増えている通信業界などにも販売体制を強化する方針。具体的には、営業やプリセールスを増やしていく。特に、製造業・通信業向けにはコンサルタントを拡充したいという。

 吉川氏は、「最近、アプリケーションから直接データを取り出し、BIで解析する手法も利用されているが、いったんDWHにデータを溜めてからBIに渡す方法と比較すると、当社DWHには、DWHの設計図といえるLDM(論理データモデル:Logical Data Model)がきちんとあるので、データ構造を明確かつ一元化することができる。当面の目標としては、DWH市場でデファクトスタンダード、No.1になりたい」と抱負などを語った。

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