「セマンティックWebのキラーアプリは検索」

米ヤフー、セマンティックWebと検索オープン化に踏み出す

2008/03/14

 米ヤフーは、近く同社のSearchプラットフォームのAPIを提供して、外部の開発者が構造化データを使って検索結果をカスタマイズし、ユーザーの利便性を向上させられるようにすると明らかにした。

 このプログラムでは、外部プログラマがAPIに独自のアルゴリズムを加えて、ヤフーの検索インデックスをどう利用するかを決めることができる。

 また、Yahoo! Searchプラットフォーム上でのプログラミングを向上させるために、ヤフーはRDF(Resource Description Framework)やマイクロフォーマットなどのセマンティックWeb標準をいくつかサポートすると、Yahoo! Search製品管理ディレクター、アミット・クマー氏は3月13日付のブログで述べている。

 ワールドワイドウェブの生みの親ティム・バーナーズ−リー氏が広めたセマンティックWebとは、Webコンテンツを使いたいというユーザーやマシンのリクエストをWebが理解して実行できるようにするためのプログラミング手法。

 プログラマの間では、標準サポートとセマンティックWeb向けソフトの開発はあまり進んでいない。その理由の一端は、複雑であり、Webパブリッシャーがサイトにコンシューマを引きつけられる「キラーアプリ」がないことだ。クマー氏は、キラーアプリはWeb検索だと主張する。

 ヤフーはSearchプラットフォームを開放し、セマンティックWebをサポートすることで、開発者を取り込んで、セマンティックWebをベースにユーザーの検索体験を向上させる機能を開発してもらいたいと期待している。

 サイロのように分断されたセマンティック情報がWeb上に点在する状態ではなく、ヤフーは入手できるすべてのセマンティック情報を集めるとTechCrunchのマイケル・アーリントン氏は述べている。

 例えば、クマー氏は、マイクロフォーマットで(SNSの)LinkedInのプロフィールページをマークアップすれば、Yahoo! SearchがLinkedInのセマンティックコンテンツとサイトコンポーネントをもっと理解できるようになると説明する。

 「Searchインデックスに含まれるLinkedInの構造化データがもっと適切に理解されるようになれば、LinkedInサイトでもっと強力で便利な検索結果をユーザーに提供できるようになる」とクマー氏は述べ、LinkedInには、同社の構造化データを利用するサイトからのトラフィックの質が高まり、トラフィック量も増えるというメリットがあると付け加えた。

 IDCのアナリスト、レイチェル・ハップ氏は、マイクロソフトによる2月1日の1株31ドルでの買収提案を過小評価だとヤフーが考えている理由は、同社がこういう取り組みを行っているからと語る。

 「優先してほしいものがここにあるよ、除外してほしいものがここにあるよ、といったように指定するアルゴリズムを検索の上に載せることができれば、非常に強力だ」と同氏は語り、これは「Googleは一番いいものを知っている」的なインデクシングアプローチを脱していると指摘する。

 「ヤフーがついにそのビジョンをまとめ上げて、それを同社の事業のさまざまな要素に組み込んで市場に投入し始めているように思える」(同氏)

 確かに、446億ドルの買収提案を拒否して以来、ヤフーはビデオ広告会社のMaven Networksを買収し、oneConnectやonePlaceなどの携帯電話向け製品を発表した。

 ヤフーは数週間以内に、サポートするセマンティックWeb標準に関する詳細な仕様を公表するとしている。初めはhCard、hCalendar、hAtom、XFNなどのマイクロフォーマットがサポート対象になる。

 Yahoo! Searchは構造化データの埋め込みや、Dublin Core、クリエティブ・コモンズ、FOAF、GeoRSS、Media RSSのボキャブラリーコンポーネントのサポートに使うボキャブラリーフレームワークを構築するのにも使える。ヤフーは深層Webのデータソースを検索する構造化クエリのための拡張機能を開発することで、OpenSearch仕様をサポートする。

 さらに同社は、近く本社でデベロッパ・ローンチパーティーを開催する。このイベントで、Yahoo! Searchプラットフォーム向けの「検索強化」アプリケーションを構築するためのツールのベータ版をリリースする。

 同社のオープン検索プラットフォームについてもっと詳しく知りたい場合は、ここで情報を入手できる。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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