「超大企業に売る」、サイボウズが大規模向けガルーン新版1万人レベルのユーザーをサポート

» 2008年04月14日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 サイボウズは4月14日、大規模向けグループウェア「サイボウズ ガルーン 2」の新版「バージョン 2.5.0」(以下、ガルーン 2.5)を販売開始したと発表した。従来3000人までだった利用規模を拡張し、1万人規模でも使えるようにした。サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏は「従業員3000人以上の超大企業に売っていくのが最大のミッションだ」と話し、マイクロソフトやIBMが得意とする大企業市場を積極的に攻める考えを示した。

 ガルーン 2.5は、Webアプリケーションサーバだけでなく、データベースサーバも多重化構成を取れるようしてスケーラビリティを強化。1万人レベルのユーザーをサポートできるようにした。利用頻度が高いデータの自動キャッシュなども搭載し、旧バージョンの2.1と比較して3〜4倍のスケーラビリティを確保したという。

サイボウズ ガルーン 2.5

 同時にガルーン 2.5と連携するN-gram方式の全文検索エンジン「サイボウズ 全文検索サーバー for ガルーン」の販売を開始した。ユーザーのアクセス権限に応じて「掲示板」「社内メール」「Webメール」などから横断的に情報を検索できる。さらにガルーン 2.5に届く最新情報をポップアップで知らせるクライアントアプリケーション「サイボウズ リマインダー for ガルーン」も提供開始する。リマインダーはWebブラウザを起動していなくても、最新情報を入手できるツールだ。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

 ガルーン 2.5は250〜499ユーザーの利用の場合で、1ユーザー当たり1万円(税別)。500〜999ユーザーの場合で1ユーザー当たり9000円、1000〜2499ユーザーの場合で、1ユーザー当たり8000円などとなっている。

 サイボウズによると、2002年に発売したガルーンは1600社、75万人が利用。サイボウズ全体の売り上げのうち、30%以上がガルーンからとなっている。ガルーン 2.5ではサイボウズグループ内に顧客を直接担当する10人規模の専任部隊を組織した。テンプレートのカスタマイズやAPIを使った連携、サブシステムのつくり込みなどを行って、大企業のニーズに応える。青野氏は500社未満といわれる従業員3000人以上の企業のうち、来年1月末までに100社と商談を行って、4億円以上の売り上げを上げることが目標と話した。サイボウズは中堅・中小市場向けのグループウェアでは昨年に国内首位となっている。大規模向けも強化し、「誰が見ても文句なしの日本代表選手になりたい」(青野氏)としている。

「サイボウズ ガルーン 2 もう小ちゃいとは言わせんべぇ」。青野社長は「サイボウズはマーケティングが得意な会社ではありません。ものづくりの会社と見てほしい」とコメント

ガルーン次期版で英語に対応、再度海外へ

 サイボウズは悲願の海外進出も再度本格化させる。同社は2001年7月に米国サンフランシスコに現地法人を設立し、2002年に製品を投入したが「ほとんど事前の調査を行わなかった。痛い目に遭って帰ってきた」(青野氏)という失敗の過去がある。現地法人は2005年に清算した。今回は事前調査をしっかり行って投入する市場を見極めると同時に、実績のあるガルーンを次期版で日本語と英語に対応させて、海外展開する。販売するのは海外展開する国内のグローバル企業で、日本と海外のタイムゾーン対応や英語に合わせたインターフェイス設計などを行う。「来年早めにリリースしたい」(青野氏)という。サイボウズは中国ですでにグループウェアを展開している

 ガルーン自身はすでに国際開発している。ガルーン 2.5は日本のサイボウズと、ベトナムの協力会社の2カ所で開発した。日本では28人、ベトナムはC.S.Factoryという開発会社の11人が開発した。ベトナム側では要件の半分を実装、試験し、リマインダーに限っては開発工程をすべて担当したという。

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