世界最大のソフトウェア企業のITインフラ

「仮想化」と「自動化」で1億ドル削減、マイクロソフト

2008/04/17

 マイクロソフトは世界最大のソフトウェア企業と称されるが、同時に、大規模なソフトウェアユーザー企業でもある。同社の社内インフラは103カ国にまたがっており、ユーザーは14万人、デスクトップやラップトップPC、モバイル機器などのデバイスは60万台。サーバだけでも1万台に上り、それを約5000人のIT部門が支えている。

 4月17日、米マイクロソフトのインフォメーション テクノロジーグループ ジェネラルマネージャ、ジム・デュボア氏が来日し、IT担当としての視点から、マイクロソフト社内のインフラについて説明した。

ms01.jpg 米マイクロソフトのインフォメーション テクノロジーグループ ジェネラルマネージャ、ジム・デュボア氏

 デュボア氏によると、同社の売上高のうち2.3%がIT投資に当てられている。うちほぼ8割を人的コストが占め、データや音声ネットワークへの投資とハードウェアへの投資がそれぞれ7%ずつ。ソフトウェアへの投資は2%だが、仮にマイクロソフト製品をすべて購入したと仮定すると4%になるという。

 目的別に見ると、新規プログラムへの投資(52%)と既存プログラムの維持/管理(48%)がほぼ半々だ。「3年前は新規プログラムへの投資が40%を下回っていた。引き続き統合や自動化を進め、この比率を60%以上にしたい」と同氏は述べた。

 デュボア氏によると「年々、ITに対する投資額全体は増えているが、維持・管理への支出は減っており、1億ドル分削減できている」。それを可能にした要因は主に3つある。1つは、「管理プロセスの標準化とサーバ管理の中央集約化」。残る2つは「仮想化」と「自動化」だ。「仮想化によってサーバのフットプリントを減らすことができ、コストを大幅に削減できた。また、新しいスクリプト機能によって複数のタスクを自動化できている」(同氏)

自社製品の「最初のユーザー」に

 基本的に同社のシステムは、マイクロソフト製品オンリーで構築されている。他のプラットフォームもあることにはあるが、主に相互運用性確保という目的のため。「均質な環境の方が、管理ツールは1つで済み、簡素化できるため、コストを削減できる」(デュボア氏)という。

 同時に、「最初のユーザー」としてWindows VistaやWindows Server 2008、Officeなどの新製品を試し、フィードバックを返すとともに、さまざまなノウハウを蓄積する役割も担ってきた。

 ちなみに、SAPをはじめとする主要なアプリケーションはすでにWindows Server 2008上に移行しており、残りの部分も順次移行中だ。6月には、次に控える「Windows 7」などのβテストが開始されるという。

 デュボア氏が実際に使ってみた感触でいうと、Windows Server 2008の機能のうち「私が一番気に入っているのは、仮想化。正式リリース前だが社内では導入しており、かなり安定している。これによって多くの物理サーバを仮想サーバに移行し、スペースや空調費など、多くのコストを削減できた」(同氏)。

 同社はITインフラの運用を通じて、従業員の生産性向上という目的も掲げているが、同時に、セキュリティも欠かせない要因として重視している。この2つの要素は相反することも多いが、「ビジネスの最初からできるだけセキュリティをビルトインすることによって、両立を図っている」とデュボア氏。Windows Server 2008で実装されるネットワークアクセス保護(NAP)や読み取り専用ドメインコントローラ(Read Only Domain Controller)といった機能も、生産性とセキュリティの両立に役立つだろうと述べた。

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(@IT 高橋睦美)

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