「他国にない特異な状況」
上位試験合格者はわずか167人、日本のITILは大丈夫か
2008/04/23
「ITILファウンデーションの認定資格者は4万人いるのに、ITILサービスマネージャの認定資格者はわずか167人。これは他国にない特異な状況だ」。日本にITILが紹介されて約5年。ITILをITサービスの効率化や品質向上に活用する企業が増える中で、ITILプロジェクトを推進するリーダー層の不足が顕著になってきた。ITIL関連の教育サービスを提供するITプレナーズ・ジャパン・アジアパシフィックの代表取締役社長の柳沼克志氏は上記のように述べ、危機感を示す。
ITプレナーズ・ジャパン・アジアパシフィックの代表取締役社長の柳沼克志氏ITILファウンデーションはITサービスマネジメントを実践する上での基本的な知識を備えていることを証明する認定資格。対して、ITILサービスマネージャは基本知識に加えて経営視点を持ちながら、具体的にITILプロジェクトを推進するための高度な知識が必要という。
2004年に日本語の試験が始まったITILファンデーションは順調に認定資格者を伸ばしているが、2006年から日本語での試験を行っているITILサービスマネージャは低調。BMCソフトウェアのBSM シニアアーキテクトの松本浩彰氏は「ハイスキルなリーダーが生まれるエンジンが回っていかないと、ITILがさらに成功するための足かせになりかねない」と心配する。現に国内のITILプロジェクトの多くは「基本的な戦略を欠いている」といい、「ITILという手段が目的化していて、何のためにITILを入れるのか分からなくなっている」と指摘する。経営的視点からITILを捉えていないために、ITIL導入がゴールとなってしまい「導入が終わった時点で、推進力が急速に低下して改善が進まない」ケースが多いという。
ITILプロジェクトを推進する人のスキル不足、知識不足も深刻だ。柳沼氏によると、初めてITILサービスマネージャの認定資格試験を受ける人の合格率はグローバルでは30%程度。対して、国内では10%しか受かっていない。結果的にグローバルではITILファンデーション認定資格者の8〜10%程度いるITILサービスマネージャの認定資格者数が、国内では1%以下だ。柳沼氏は日本でITIL推進のリーダー層が育成されない理由について、「論理的な思考、特にビジネスとITの相互関係をしっかりと説明する力が乏しい。情報としてはITILを理解していても、説得する力が弱い」と指摘する。
このような国内のITILの状況を受けて、BMCとITプレナーズはITILプロジェクトを戦略的に進める人材を育成する教育サービス「BMC Activation」の開始を正式発表した。ITILのリーダー育成から実務者育成まで5つのコースを用意し、基本から実践を座学を学んだ後に、プロジェクトのシミュレーションを行うことができる。自社の情報システムの運営を分析しながらITILを学ぶことができるのが特徴で、「企業がより効率的に人材を育成できる」(柳沼氏)という。
5コースを受講した場合、期間は6日間。10人で受講すると価格は235万円(税抜)。両社は初年度に10社程度の利用を見込んでいる。
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