大学・研究機関のスパコンをグリッド連携、「NAREGI」公開産学官によるグリッド技術研究の成果

» 2008年05月09日 00時00分 公開
[吉村哲樹,@IT]

 国立情報学研究所は5月9日、グリッド技術でスーパーコンピュータや大規模データベースを連携・共有するためのソフトウェア「NAREGIミドルウェア Ver.1.0」を公開した。

 NAREGIミドルウェアは、同研究所が2003年から取り組む「超高速コンピュータ網形成プロジェクト」(National Research Grid Initiative:NAREGI)で研究開発を行ってきたもの。全国の大学や研究機関が保有するスーパーコンピュータなどの計算資源や、大規模データベースに保管された研究データを、グリッド技術により組織の壁を越えて連携・共有可能にする。同研究所 リサーチグリッド研究開発センター長 三浦謙一氏は、同ミドルウェアが研究者や技術者にもたらすメリットについて、「これまで単一コンピュータの計算能力では困難だった高度なシミュレーションや実験データ解析を可能にする。また研究リソースの共有だけでなく、VO(Virtual Organization)と呼ぶバーチャルな研究コミュニティを形成することにより、複数の研究機関にまたがる大規模な研究活動を支援する」と説明した。

写真 国立情報学研究所 リサーチグリッド研究開発センター長 三浦謙一氏

 同研究所は2008年3月、NAREGIプロジェクトを共に推進してきた分子科学研究所や、複数の大学・研究機関と共同で同ミドルウェアの実証実験を行い、100Tflops級のグリッド環境を構築できることを確認。すでにいくつかの研究機関が、導入・運用の準備を進めているという。また、海外のグリッド研究プロジェクトとも積極的に連携、国際的なグリッドミドルウェアとしての地位確立を目指すとしている。

 同ミドルウェアはApacheライセンス2.0のオープンソース・ソフトウェアとして公開され、5月9日より専用ホームページからダウンロード可能。同研究所では今後、トレーニングや導入・運用支援などの活動を通じ、同ミドルウェアの普及を推進していくとしている。

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