スパム比率は平均32%に
電子メールシステムに限界? シマンテックが企業のスパム現状を調査
2008/06/04
国内の企業が1日当たり受け取る電子メールの数は平均11万5394通。うち平均で32%がスパムで占められている――シマンテックは6月3日、このような調査結果を発表した。
調査は、企業におけるスパムメールの現状を把握するため、同社が2004年より毎年実施しているもの。2008年は3月から4月にかけて、企業のネットワーク管理者と企業内の電子メール利用者を対象にWeb上のアンケートを通じて実施し、有効回答数はそれぞれ534件、848件だった。
まず管理者向けの調査によると、日本の企業が全社で受け取る電子メールの総数は、1日当たり平均11万5394通。また、受信メール全体に占めるスパムの比率は32%に上った。この比率は、2004年9月には16%だったが、2006年4月には20%、2007年3月では28%と、調査のたびに増加している。
同社がグローバルに実施しているセキュリティ調査では、全電子メールに占めるスパムの比率は80%に上っており、これに比べるとまだ少ないように見える。しかし「実際には、フィルタリングなどスパム対策後の数字も含まれているため、実際はもう10〜20%程度高いのではないか」(シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング プロダクトマーケティングマネージャの今村康弘氏)という。
こうした背景を踏まえ、電子メールシステム運用管理上の課題を管理者に尋ねたところ、スパム増加による従業員の生産性低下や機密情報漏えい、ポリシー策定/ユーザーの教育啓蒙といった項目が挙げられた。今回の調査では加えて「トラフィックの増加によるネットワークやサーバへの負荷増大をあげる声が増えた」(今村氏)という。
一方ユーザー側の調査結果でも、スパム受信比率は31%と、管理者側とほぼ同じ数字となった。
利用課題としては、スパム・迷惑メールの増加に加え、メールのシステムダウンによる業務の停止(27.7%)やメール送受信のパフォーマンス低下(22.2%)が挙げられ、ネットワークやサーバへの負荷が増えてきていることが、ユーザー側の調査結果からもうかがえた。またユーザー側の調査では特に、スパムに紛れて必要なメールが見つからず、検索に手間がかかることが不満点として挙がっている。中には、間違えて仕事に必要なメールを削除してしまったという経験をしたユーザーもいるという。
今村氏は、スパムや迷惑メールの増加もさることながら、メールそのものの増加がシステムに負荷をかけていると指摘した。それも、やり取りされる数の増加に加え、添付ファイルのサイズも増大しているため、全体として消費されるストレージ量は膨大になっているという。
「メールシステムに限界が近づいている。スパムは誕生から30周年を迎えたが、減るどころか増加する一方だ。メール自体も増え続けるだろう」と今村氏。根本的にシステムを見直し、入ってくる迷惑メールをゲートウェイでフィルタしたり、アーカイブを組み合わせて必要なメールを検索しやすくするといった仕組みを組み入れるべき時期に来ていると述べている。
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