NGN時代の新ネットワーク管理ソフトウェアを発売、富士通次世代ネットワークは目や耳で感じるネットワーク品質が大事

» 2008年06月05日 00時00分 公開
[吉村哲樹,@IT]

 富士通は6月5日、次世代ネットワーク(NGN)の運用管理・品質管理ソフトウェア「Proactnes II V01」(プロアクトネス ツー)の販売を同日から開始すると発表した。

 Proactnes II V01は、IP化された次世代ネットワークのサービスに求められる新たな品質要件・サービス要件に応えるためのネットワークサービス管理ソフトウェア。IP電話の音声、VODの映像、業務アプリケーションのデータなど、多種多様なサービスのデータが混在することが予想される次世代ネットワークでは、それぞれのサービスの要件に応じたネットワーク品質管理が必要になる。例えば、音声通信の品質を最優先で保証し、映像通信にその次点の優先度を割り当てる、といった具合だ。

写真 富士通 ネットワーク管理ソリューション事業部 事業部長 野村豊夫氏

 こうした課題に対してProactnes II V01が提供するソリューションについて、同社 ネットワーク管理ソリューション事業部 事業部長 野村豊夫氏は次のように説明する。「音声通信や映像通信のサービス品質では、リアルタイム性が重要となる。また音声通信に関していえば、ネットワーク品質の監視では把握しにくいエコーやノイズなど、エンドユーザーの体感レベルでしか検知できない「体感品質」が課題だ。また、回線の単位ではなく、ユーザーの単位でサービス品質を管理する必要もある。Proactnes II V01は、ネットワーク品質劣化のリアルタイム検知、サービスとユーザーごとの検知により、こうした課題の解決を支援する」(野村氏)

 同製品は、ネットワークの品質管理を行う「Proactnes II QM V01」と、運用管理を行う「Proactnes II NM V01」で構成される。品質管理機能はさらに、「ネットワーク故障検知ソフトウェア」「音声品質管理ソフトウェア」「トラフィック測定ソフトウェア」に分かれる。

写真 富士通 ネットワーク管理ソリューション事業部 プロジェクト部長 水田一生氏

 同製品は専用ハードウェアを必要とせず、一定のスペックを満たす汎用サーバーにインストールし、ネットワークに接続して使用する。ネットワーク上を流れるすべてのデータをリアルタイムに解析し、ネットワーク品質劣化によりユーザーの体感品質に問題が生じたと判断すると、どのユーザーのサービスにどの程度の品質劣化が生じているかをリアルタイムに通知する。同社 ネットワーク管理ソリューション事業部 プロジェクト部長 水田一生氏は、「他社製のネットワーク監視製品は障害が発生してから検知するまで早くても5分、中には1時間以上かかるものもある。Proactnes II QM V01は、リアルタイムにユーザーごとの問題を検知し『見える化』できる」と同ソフトウェアの強みを強調する。

写真 Proactnes II QM V01ネットワーク故障検知ソフトウェアの特徴

 音声の品質管理に関しては、ネットワーク品質からの音質評価ではなく、ユーザー体感品質である音響視点での品質把握を独自技術で実現。従来の技術では検知できなかった雑音環境下でのエコーを98.9%検知できるようになったという。「ノイズの検知機能については現在開発中。また映像に関しても、同様に体感品質による品質把握を実現すべく、開発を行っているところだ」(水田氏)

 ネットワーク運用管理機能を提供するProactnes II NM V01には「大規模ネットワーク監視ソフトウェア」が含まれ、数10万台のネットワーク装置を一括して管理することが可能。さらにProactnes II QM V01と連携することにより、ネットワーク品質劣化が物理ネットワーク上のどの箇所で発生しているかを特定し、故障の発生を未然に防ぐことができるという。

 Proactnes II QM V01の各ソフトウェアの販売価格は、ネットワーク故障検知ソフトウェアが282万円(税別)から、トラフィック測定ソフトウェアが130万円(税別)から(音声品質管理ソフトウェアは2008年度第3四半期に販売開始予定)。Proactnes II NM V01の大規模ネットワーク監視ソフトウェアの価格は300万円(税別)からとなっている。同社では今後3年間で、周辺装置を含めたシステム全体で200億円の販売を計画しているという。

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