「絵に描いた餅」にならないセキュリティ対策を作る

脅威に対する事前予防を、ラックが3つの新サービス

2008/06/17

　セキュリティ企業のラックは6月17日、組織内部のセキュリティリスク対策を高め、情報セキュリティ実装を支援するサービスを発表した。ラックの持つセキュリティ対策ノウハウを基に、セキュリティ対策のあるべき論をそのまま適用するのではなく、実効性、運用性を考慮した管理策を提供できることが特徴だ。

ラックプロフェッショナルサービス事業本部執行役員事業部長内田昌宏氏

　ラックは新サービスとして「ログ統合管理システム構築・運用サービス」「アプリケーションセキュリティ実装サービス」「IT実装コンサルティングサービス」の3つを提供する。これらはシステムの企画段階からセキュリティ対策を実装、運用できるよう、ラックが支援するコンサルティングサービスだ。ラック執行役員の内田昌宏氏によると、2008年3月から急激な増加傾向を見せるSQLインジェクション攻撃の波や、ラックが提供する個人情報漏えい緊急対策サービス「個人情報119」の出動件数が増加しているという。新サービスはラックのセキュリティ対策ノウハウを基に、内部および外部の脅威に対して予防策を提案する。

　「ログ統合管理システム構築・運用サービス」では主に内部脅威への対策として、すでにログを収集しているかどうかにかかわらず、「ログの有効活用」という視点でシステム構築・運用の支援を行う。ログ統合管理はログの可視化を行っただけでは完結せず、その中から問題となる行動や脆弱性に対する攻撃をいかに見つけるかが重要である。この部分では、同社が持つセキュリティ監視センター、JSOCにおけるログ分析技術ノウハウを適用、個々の事業内容に沿ったレポートを提供する。

　また「アプリケーションセキュリティ実装サービス」では外部脅威からの対策として、Webアプリケーション開発の要件定義段階から実装し、運用で必要なセキュリティ診断やリスク管理を行い、対策を提案するサービスとなっている。具体的に方針などが明確化されていない場合、さらに上流からのコンサルティングサービスとして独自に確立したフレームワークに基づく「IT実装コンサルティングサービス」を提供する。

IT実装コンサルティングサービスの最終成果物の1つ、IT実装のロードマップのイメージ。企業が対策すべき項目と時期を図示している

　内田氏によると、SQLインジェクション攻撃の波や、6月より同社が提供開始した無償のログ解析ツール「SecureSite Checker Free」についても大きな反響があったという。これらは「事件が起きたあと」の対策となるが、脅威に対する事前の予防策として役立つことが今回発表した新サービスのコンセプトだと述べた。ラックはこれら3つの新サービスで、2008年度に5億円の売り上げを目指す。