SSLとDNS、認証の3事業に注力
「原点に戻る」、日本ベリサインが新たな経営方針
2008/06/26
日本ベリサインは6月26日、新経営陣による今後の経営方針を発表した。創業の原点である「セキュリティインフラ」に改めてフォーカスしていくという。米ベリサインの創業者で、いったん同社を離れながら取締役会長に復帰したジェームズ・ビゾス氏は、「コアテクノロジに立ち戻ることを決めた」と述べ、SSL証明書の発行をはじめとするネットワークセキュリティ事業に注力する姿勢を強調した。
米ベリサインが設立されたのは1995年のことだ。その後NASDAQに上場し、2000年から2007年にかけて49社に上る企業を買収した。中には携帯電話向けコンテンツや着メロの企業まで含まれていたという一連の買収の結果、「かえって、セキュリティインフラという、創業のそもそものフォーカスがぶれてしまった」(ビゾス氏)。
そこで同社は2007年11月に、大きく経営戦略を変更した。周辺事業は処分、売却する一方で、3つの分野に注力していくという。1つは、オンライントランザクションを暗号化し、安全に行うためのSSL/デジタル認証事業。2つめは、ドメインネームサービスの運用で、「信頼でき、安定し、かつ高いキャパシティと拡張性を備えたネットワークインフラを提供していく」(ビゾス氏)。そしてもう1つが、認証やID管理で、「ベリサインアイデンティティプロテクション(VIP)」などを軸にサービスを提供していくという。
6月1日付で日本ベリサインの社長兼最高執行責任者(COO)に就任した古市克典氏は「ベリサインという企業には技術力や運用力、ブランド力がある。一方、世の中全般の傾向を見れば、セキュリティや認証といった部分へのニーズが高まっている」とし、今後、持続的成長する会社にしていきたいと抱負を述べた。
同時に、子会社である日本ジオトラストが提供するSSL事業についての説明も行われた。ベリサインが発行するSSLサーバ証明書/EV SSL証明書が、実在性の証明や視覚的な安全性の表示も含めた、より高いセキュリティレベルを提供するものであるのに対し、ジオトラストでは、ドメイン認証のみで短時間で発行できる低コストのSSL証明書を提供し、小規模事業者などのニーズに応えていく。
日本ベリサイン マスマーケット営業本部 本部長補佐の平岩義正氏は、「顧客のライフサイクルに合わせて適切なSSLサーバ証明書を提供するため、3つのラインナップを提供していく」と述べている。
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