キャリア向け運用支援サービスで海外展開

NECが米通信事業者向けサービス中堅を約300億円で買収

2008/06/27

 NECは6月27日、通信事業者向けサービス中堅の米ネットクラッカーテクノロジーを買収し、100%子会社とすると発表した。買収金額は約3億ドルで9月をめどに買収を行う。ネットクラッカーは通信サービス事業者向けの運用支援サービスを提供しており、サービス導入支援、サービス品質管理、課金管理などを行うWebベースのツールを持つ。

nec01.jpg NEC取締役社長 矢野薫氏(右)と、ネットクラッカー テクノロジーCEOのアンドリュー・ファインバーグ氏(左)

 NEC取締役社長の矢野薫氏は買収の狙いを、国外への事業展開の足がかりとすることと、これまでハードウェアを中心に進めてきた事業で、ソフトウェアやサービスへ比重を移していくことにあるという。「国内市場は成熟しているが、グローバル市場はBRICsなどを中心に拡大している。日本はNGN、ワイヤレス、ブロードバンドで先行しているので、その強みで海外展開していく」(矢野氏)。国内と海外の売り上げ比率を2010年には6対4程度に持っていきたいという。国内のキャリア向け製品・サービスは大手キャリアによるカスタマイズが進んでいるが、海外市場は大規模キャリアは少なく、標準パッケージを顧客に合わせてカスタマイズするビジネスが主体。こうした市場でネットクラッカーのツールの柔軟性は有利という。

 これまでNECのキャリア向けシステムの事業規模は1500億円程度。このうちハードウェアが60%、ソフトウェアが40%を占めているが、ハードウェアのコモディティ化が進むなか、この比率を逆転させていきたい考えだ。ハードウェア中心の事業をソフトウェアやサービスといった「上位レイヤに伸ばしていくことが将来の成長性、収益性の確保から重要」(矢野氏)という。

 キャリア向けIT製品・サービスの市場規模は年間15兆円。このうち運用支援システム市場は2兆円規模で年率6〜7%で伸びている。ネットクラッカーのWebベースのツールは、この運用支援システム市場で強みを持つという。

 100パーセントWebベースの運用支援ツールは同市場では先進的という。矢野社長は「従来のレガシー市場からITを使った新しい市場が出てきている。急激にネットワーク構造やサービスの中身が変わってきて、新たなチャンスが出てきたと認識している。我々としては時間を買う必要があった」ことも買収の理由とする。

 ネットクラッカーは1993年創業で従業員は約1000名。2007年の売上実績は約80億円、2007年の売上見込みは約120億円。買収後、NECは同社が持つNGN、SaaSなど新しいサービスをネットクラッカーを通じて海外のキャリア向けに提案していくなどしてシナジーを出していきたい考えだ。今回の買収により、今後5年間で新たに2000億円の売り上げを見込む。

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(@IT 西村賢)

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