景気後退の中、IT関連支出の伸びが予測される理由SaaS、クラウド、新興地域が牽引

» 2008年08月19日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 米ガートナーは8月18日、2008年の企業のIT関連支出が世界で前年比8%増の3兆4000億ドルになるとの予測を発表した。景気の後退が明らかになりつつあるが、IT関連支出は堅調と指摘。ガートナーは「新興地域、システムのリプレース、新技術へのシフトが成長を牽引する」としている。

 ただ、IT関連支出の伸びは米ドルの相対的な為替下落によるところが大きいともガートナーは指摘。為替を固定した場合の成長率は約4.5%になるという。

 IT関連支出の中でもっとも成長するのはソフトウェアとITサービスで、共に10%の伸びが予測されている。ガートナーはソフトウェアとITサービスの高成長の理由として企業のITシステムがクラウド・コンピューティングやSaaS環境に移ることを挙げている。

 既存システムのリプレースも成長を引っ張る。ガートナーは「多くの企業は1997年から2001年にかけてソフトウェアシステムをアップデートした」と指摘し、古いシステムを使っている企業の間ではシステムの刷新が始まると予測する。

 ただ、システムのリプレースはソフトウェアの新規導入に単純に結びつかないとして、クラウド・コンピューティングやSaaS、SOA、Web 2.0、オープンソースソフトウェアなどの新技術、トレンドがソフトウェア市場の競争環境に大きな影響を与えるとしている。

 ハードウェアの成長はPCが牽引する見込みで、2008年のハードウェア関連支出の60%はPCが占める。特にアジア太平洋と西欧で伸びが期待できるという。

 ガートナーは2008年から2009年にかけてのIT関連支出の伸びを6%と予測している。

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