日本ネクサウェブ、「モダナイゼーション」ビジネスを強化

VBやCのコード自動変換とDojo拡張プロジェクトで飛躍を狙う

2008/09/12

 RIA/リッチクライアントベンダの日本ネクサウェブは9月12日、リッチクライアント技術「Nexaweb」における今後の事業戦略として、IT基盤を最新化・近代化する「モダナイゼーション」ビジネスの強化と、それを実現するための新たなソリューション「Nexaweb Advance」を記者会見で発表した。

 Nexaweb Advanceは、既存のRIAプラットフォーム「Nexaweb」に加え、Nexaweb開発のためのフレームワーク「Reference Framework」と、VBやCなどのいわゆるレガシー・アプリケーションをNexawebアプリケーションに変換するサービス「Transformation Process」の3つから構成するソリューションだ。

 Nexawebは、JavaやXML、Ajaxといったオープンな技術を基盤にしたRIAの統合開発・運用環境で、リアルタイム(プッシュ配信)/非同期通信を特徴とする。エンタープライズ向けの技術で日本での採用実績も多い。統合開発環境「Nexaweb Studio」はEclipseベースでGUIエディタも備えている。

 Reference Frameworkは、Nexaweb開発における生産性と品質向上を意識し、既存システムとデータ連携にも柔軟に対応するフレームワークとなっていて、2008年11月から提供開始予定だという。

 Transformation Processは、自動変換ツールを使って、レガシー・アプリケーションのソースコードを解析してフローチャートやUMLなどのドキュメントに変換し、ドキュメントをNexawebアプリケーションに変換するサービスだ。すでに、米ペプシ・ボトリング・グループや米EMCなどでの活用事例もある。

nexaweb01.jpg 変換するコードと変換後のフローチャートの例

 では、Nexaweb Advanceで実現するモダナイゼーションと従来のマイグレーションは何が違うのか。これについて、米ネクサウェブ・テクノロジーズCOO(最高執行責任者)のデイビッド・マクファーレン氏は次のように説明した。

nexaweb02.jpg 米ネクサウェブ・テクノロジーズCOOデイビッド・マクファーレン氏

 「従来の単純な自動変換ツールによるマイグレーションでは、プログラムやデータなどの1対1の移行は可能なものの、仕様変更や新しい業務プロセスを加味しながら移行することは難しかった。しかも、レガシー・アプリケーションは、ドキュメントが不足していることが多い。そのため、多くの企業は既存システムのWeb化を保留し、その保守にIT予算の平均60〜85%を支出し続けた。今回われわれが提供を開始するNexaweb Advanceは、いままで変更を保留してきたレガシー・アプリケーションからの戦略的なITシステムへのモダナイゼーションを、短期間かつ低コストで実現する」(同氏)

 つまり、日本ネクサウェブが提唱するモダナイゼーションと従来のマイグレーションの違いは、移行期間中に新たな仕様変更・追加を吸収したすること。さらに、アプリケーションの仕様をモデル化し、ドキュメント生成までを実装することで、移行後のコストも削減できるところだ。

 2008年3月のVB 6のサポート期限切れにともない、さまざまな企業がVBをはじめとするレガシー・アプリケーションからのRIAへの移行ツールやサービス、トレーニングを提供すると発表している。しかし、アプリケーションの仕様をモデル化し、ドキュメント生成までを実装するソリューションを正式に発表するケースは珍しい。

 Nexaweb Advanceで実現するモダナイゼーションは、可視化・変換・具体化・稼働/展開・保守の5つのフェイズから成り立つ。その5つのフェイズについてデモを交えながらの説明があった。

 可視化のフェイズでは、レガシー・アプリケーションのソースコードやデータベーススキーマ情報を自動変換ツールで収集・分析し、その情報をナレッジ・データベースに落とし込む。収集・分析した情報は、ソースコードの行数、呼び出し/実行/go-to/ifの数、ソースコードの複雑さ、インターフェイスの数、テーブル構成、アプリケーションの統計、例外のリスト、ソースコードのコメントなどを含む詳細なものだ。

nexaweb03.jpg 変換前のVBアプリケーション

 変換フェイズでは、相互参照関係を追跡した解析済みソースコードのデータや、ソースコードとハイパーリンクでマッピングしてあるフローチャート、ビジネスルールのドキュメント、変換された変数のリスト、UMLモデルなどを、ナレッジ・データベースを基に自動変換ツールで生成する。文書化する際には、重複ソースコードと破損ソースコードの除去などリファクタリングも行う。

 具体化フェイズでは、「文書を基にXMLを自動生成し、新機能を追加してワークフローを修正する。そして、自動生成されたXMLを基に、NexawebモジュールやJava EEモジュール、Struts、Spring、DAO(Data Access Object)、データバインディング構成、UI画面も自動生成する。また、修正が必要になった場合でも、EclipseのWTPやATF、DTPを統合している「Nexaweb Studio」で、視覚的なドラッグ&ドロップの修正やデバッグができる。

nexaweb04.jpg 変換後のNexawebアプリケーション(Webブラウザで動作している)

 稼働/展開フェイズでは、従来のNexaxeb Platformにより、JSP/HTML、Ajax、Javaアプレットなどのさまざまアーキテクチャでデプロイメントが可能。保守フェイズでは、「Nexaweb PlatformがWeb集中管理型の粗結合アーキテクチャに加え、ソースコードベースでユーザーをサポートするので、コストを平均75〜90%削減できる」(マクファーレン氏)という。

 記者会見後には、米ネクサウェブ・テクノロジーズ技術部門統括責任者 ロバート・ガニエ氏に話を伺うことができた。Transformation Processで解析できるソースコードの文法の種類はどれぐらいあるのか質問してみると、「VB 3〜6やC、COBOL(メインフレーム間での差異も吸収)、PowerBuilderを基本として、C++やDelphi、Lotus Notes、Oracle Forms、ColdFusionなど、2008年9月現在で117種類に対応している」(ガニエ氏)とのことだった。

naxaweb02.jpg 米ネクサウェブ・テクノロジーズ技術部門統括責任者 ロバート・ガニエ氏

 また、Transformation Processで変換される、フローチャートやUMLなどの文書は画像ファイルなのか。それとも、テキストの集合体で、検索は可能なのか。ガニエ氏は次のように回答した。「変換された文書はマイクロソフトのVisioで見ることができるダイアグラムなので、文字列を検索することも可能だ」。

 Nexawebの今後についても話を聞けた。米ネクサウェブ・テクノロジーズは「dojo.E」というAjax/JavaScriptライブラリ「Dojo Toolkit」を企業用途向けに拡張するオープンソース・プロジェクトにかかわっていて、その機能をNexawebに取り入れている。数あるAjax/JavaScriptフレームワークの中でDojoに注力した理由について、ガニエ氏は「Dojoは昔からあり、それだけに企業への普及度も高いから」と述べた。

 「dojo.E」プロジェクトの成果は2008年中に発表する予定だという。「ほかにもNexaweb Studioの強化を進め、Nexawebで使えるもっとリッチなコンポーネント、例えばExcelのようなコンポーネントなどを増やし、対応する技術/プラットフォームも増やしていきたい。10年後に『レガシーなNexawebから移行したい』といわれないようにね」(ガニエ氏)

(@IT 平田修)

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