ビジネス、システムともに、国際会計基準への対応が急務国際基準対応に「例外は一切許さない」!?

» 2008年09月24日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 経営・システムコンサルティングサービスを提供するビジネスブレイン太田昭和は9月23日、記者懇談会を実施した。同社代表取締役社長 木村幸弘氏による事業内容の紹介に続き、代表取締役副社長の加藤礼吉氏が2006年2月に資本・業務提携した日立ソフトとのビジネス展開について説明。また、同社会計システム研究所所長の中澤進氏が、米国証券取引委員会が国際財務報告基準(IFRS)を受け入れたことについて、「日本国内でも、国際会計基準への対応がいっそう加速する」と解説した。

写真 ビジネスブレイン太田昭和 代表取締役社長の木村幸弘氏

 木村氏は、同社が会計業務を核とした経営コンサルティングからスタートしたことを挙げ、「1991年にリリースした複数言語対応会計システム『ACT-II』をはじめ、継続的に会計関連のパッケージシステムを提供してきた。今後も、公認会計士、ITコンサルタント、経営コンサルタントが三位一体となったサービスを展開し、顧客企業の利益に貢献していきたい」と述べた。

 続いて加藤氏が、日立ソフトとの今後のビジネス展開について説明。「各々の製品を共同で売るだけではなく、ともにソリューションを開発・販売し、提携のシナジーを増す」として、内部統制対応支援ソリューション「ICソリューションシリーズ」と、販売会計統合ソリューション「Fit-ONE」を紹介した。

 ICソリューションシリーズは、文書化3点セットをはじめドキュメントの作成、管理を支援する『IC Document』と、整備・運用状況評価を支援する『IC Manager』を用意。両者は共通のプラットフォームで稼働し、ドキュメントの管理から運用評価まで、内部統制対応を一貫して支援できるという。

 Fit-ONEは、販売、会計に必要な機能をそろえたテンプレート・業務部品群。同社の会計コンサルティングに基づいて、顧客企業に独自の業務などを明確化したうえで、テンプレートをベースに業務部品群から必要なものを選んで柔軟にシステムを構築する。加藤氏は「顧客企業の強みや事情を考慮し、真に役立つシステムを短期間で構築できる。もちろんシステム運用が定着し、具体的な効果が表れるまでサポートする」と述べた。

写真 同社代表取締役副社長の加藤礼吉氏

 一方、中澤氏は、「会計新時代に向けて」と題し、ビジネスや資本市場のグローバル化が進む現況について解説。中でも、米国証券取引委員会が2008年8月27日、米国上場企業の国際財務報告基準(IFRS)受け入れへ向けてロードマップ案を提示したことを紹介し、「財務報告基準の国際化は、今後いっそう加速するだろう」と述べた。

 この背景には、世界100カ国以上がIFRSに対応しており、市場シェアが全世界で35%に上ることや、米国投資家の3分の2が外国企業の株式を有していることがあるという。すなわち、「米国企業にIFRS採用を認めさせることが、投資家保護や財務諸表の比較可能性の確保につながる」という判断だ。

 「いま、企業には、投資家による企業価値の評価に役立つような、透明性の高い会計情報の提供、すなわちアカウンタビリティが求められている。ビジネスや資本市場が年々グローバル化しているいま、IFRS対応に向けた動きはいっそう強まっていくだろう」(中澤氏)

 また、今年8月8日には企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準理事会(IASB)が、「日本基準と現行のIFRSとの重要な差異を解消し、2011年までに両者を“収斂(れん)させる”」と共同声明を発表している。中澤氏はこれについても触れ、「“収斂(れん)”と“受け入れ”の差は大きい」と指摘した。前者は一部を妥協するニュアンスも含まれているが、「“受け入れ”は例外を一切許さない、といった含みが感じ取れる」(中澤氏)。

写真 同社会計システム研究所所長の中澤進氏

 現に、2008年4月1日から適用された存外子会社の会計方針統一や、2009年4月1日から適用となる工事進行基準への対応など、日本基準とIFRSとの重要な差異、26項目の解消に向けて事態は動き出している。財務報告基準の国際化に向けた動きは今後いっそう加速し、「日本企業も、投資家保護の実現と企業価値最大化に向けて、企業運営基盤を早急に変革することが求められるようになる」(中澤氏)。

 最後に、中澤氏は「日本企業も国際会計基準対応に向けて、経営管理の仕組みを高度化することが不可欠となった。その取り組みの中心となるのが企業の財務・経理部門だ。だが、日本は欧米に比べて会計業務に対する認識が低かったせいか、財務・経理の人材、ノウハウ不足に悩む企業も多い。そこで弊社では、国際会計基準対応に向けた各種支援サービスを用意している。これによって各社の取り組みを強力に支援していきたい」とまとめた。

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