SAP、2010年めどに経営戦略管理スイート製品を導入「ERPのデータをきちんと活用したい」というニーズを汲んで

» 2008年09月30日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは9月30日、経営戦略管理ソリューション「SAP Strategy Management 7.0」(以下、SM 7.0)の日本語版を10月1日より提供開始すると発表した。SM 7.0は、SAPが2007年2月に買収した旧Pilot Softwareの製品で、今後Business Objects製品とも組み合わせて統合経営戦略管理スイート製品にしていく方針だという。

 SM 7.0は、従来Pilot Softwareが提供していた経営管理ソフトウェア。経営者が定めた経営目標遂行のためのプロセスを可視化して管理し、短期〜長期の目標を実現できるように支援するものだという。SAP製品との連携を強化し、SAP NetWeaver Portalからシングルサインオンできるようになっているほか、SAP NetWeaver BIへの直接アクセスも可能となった。

桐井氏写真 SAPジャパン バイスプレジデント GRC/EPM事業開発本部 本部長 桐井健之氏

 SAPジャパン バイスプレジデント GRC/EPM事業開発本部 本部長 桐井健之氏は、「従来SAPは、ERPを中心とした業務基幹系システムを提供してきた。一方で、当社のユーザーの中には『その業務基幹系システムのデータをきちんと活用したい』というニーズが根強くあった。そのニーズに応えるため、当社では経営戦略管理ソリューションを持つ企業をいくつか買収し、その分野へ進出している。今後はさらにこの分野を強化していく。経営戦略管理ソリューションのイメージとしては、BIが製品などの売り上げデータやコストなどを可視化するツールであるのに対して、経営戦略管理ソリューションはプロジェクトリソースを可視化したり、社内のヒューマンリソースの配分状態など“社内リソース”を可視化することが得意だ」と説明した。

 現在、SAPが予定している経営戦略管理ソリューション群は4つ。予算管理などを中心としたソリューションを提供する「SAP Business Planning and Consolidation 7.0」、連結会計向けのソリューションを提供する「BusinessObjects Financial Consolidation 7.0」、収益分析などを行える「BusinessObjects Profitability and Cost Management 7.0」、そして最後が今回発表された「SAP Strategy Management 7.0」だ。

 桐井氏によると、2009年にはBusinessObjects BIとSAP NetWeaverの統合を完成させた「EPM 7.5」が、2010年にはUIやメタデータ、マスターデータを共通化した「EPM 8.0」をリリースする予定。「2010年のバージョンでは、4製品を統合したスイート製品にする方向で開発している」(桐井氏)と説明した。

 桐井氏は販売戦略について、「まずは既存のSAP ERPのユーザーをターゲットにする。また、DWHに蓄積したデータを活用したがっている既存のBusinessObjectsユーザーにもアピールしたい。ただし、当社パートナー企業は基幹業務系に強いところが多いので、今後経営戦略管理ソリューションを拡販していくうえで、パートナー教育も非常に重要だ。そのため、既存パートナーの教育とともに経営戦略管理ソリューションに強い新規パートナーの開拓も進めていく」とコメントした。

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