社内のすごい専門家を探す、リアルコムが新KMソフト投入買収した「AskMe」を日本語化

» 2008年10月02日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 リアルコムは10月2日、今春に買収を完了した米国子会社であるREALCOM U.S.(旧AskMe)のナレッジマネジメントソフトウェア「REALCOM AskMe Enterprise 8.5 日本語版」(AskMe)を出荷開始したと発表した。リアルコムの代表取締役社長兼CEOの谷本肇氏はAskMeの出荷について「リアルコムがグローバル展開する上での第一歩。国内、米国で浸透させた後、欧州や日本以外のアジアでも展開し、グローバル化を実現したい」と話した。

 AskMeは社内に蓄積されている暗黙知やノウハウ、専門知識をあぶり出し、共有できるようにするソフトウェア。特長は社内の専門家に焦点を当てていることだ。社内のスタッフごとに自分の専門性やこれまで作成した資料などを登録するプロフィールページを作ることができ、検索を通じて社内の専門家や資料を探せるようになっている。

 このプロフィールページには専門性に応じて複数のタグを付けることができ、このタグも検索対象になる。タグはスタッフがこれまでに作成した資料やコメントなどから、自動生成することもできる。自分でも気付いていない専門性をほかのスタッフに知ってもらうことができるわけだ。AskMeは社内の専門家を探すだけでなく、質問して回答を募るQ&A機能もあり、効率的に問題解決を図れるという。

AskMeのトップページ
AskMeのプロフィールページ

 AskMeはマイクロソフトが買収したFAST Search&Transferの検索技術を組み込んでいて、ファイルサーバや文書管理システム、Lotus Notesなどから情報を検索可能。オプションのFASTコネクタを使うことで、社外の情報も検索できるようになるという。

 リアルコムがAskMeの市場として狙っているのは製造業や製薬業など社内で研究開発を行っている業種だ。同社のマーケティング統括 砂金信一郎氏は「AskMeは1人ひとりの専門性を生かさないと業務が回らない企業のプロセスを改善し、生産性を向上させる」と説明した。

 リアルコムによるとAskMeは米国ではP&Gやインテル、ファイザーなどが採用し、研究開発部門を中心に使っているという。谷本氏はリアルコムが展開するナレッジマネジメントソフトウェア「KnowledgeMarket」が金融や通信を中心に導入されてきたとして、「製造業の研究開発部門に強いAskMeを展開することで(リアルコムの弱い部分を)補完できるようになる」と話した。

リアルコムのマーケティング統括 砂金信一郎氏

 旧AskMeは米マイクロソフトのスピンアウト組が設立した企業。マイクロソフト製品と親和性が高く、AskMeは.NET Frameworkで開発されている。今バージョンでも上記のFASTコネクタを使えばマイクロソフトの「Microsoft Office SharePoint Server 2007」のデータを検索できるが、AskMeの次期バージョンではさらなる連携を図る予定だ。

 営業的にもマイクロソフトとの協力を進める考え。砂金氏は「マイクロソフトはいまSharePointを核にしたエコシステムを構築している。リアルコムもそれに乗っていきたい。今後はマイクロソフトとより多くの接点で協業が進んでいくだろう」と話した。

 AskMeのライセンス価格は最小構成300ユーザーCAL付きで350万円から。導入費用、保守費用、コンサルティング費用を合わせた参考価格は800万円強となる。リアルコムは出荷1年で15件の導入を目指す。

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