弥生、70万人の声を反映させた「弥生 09シリーズ」発売来年10月以降はSaaS提供も実現!?

» 2008年10月15日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 弥生は10月15日、業務パッケージ製品「弥生 09シリーズ」を12月5日に発売すると発表した。約70万人のユーザーの声を反映し、「かんたん、やさしい」をコンセプトに使い勝手を追求した。

 フラッグシップ製品「弥生会計09」では、検索や並び替えなどの画面操作や、試算表・決算書の印刷レイアウトを改善したほか、勘定科目を業種別に特化した「業種別テンプレート」をダウンロード提供するなど、使いやすさ、導入しやすさに徹底的にこだわったという。また、コールセンターによる一般仕訳相談サービスも本格展開するなどサービス面も拡充。同社代表取締役社長の岡本浩一郎氏は「2009年度の弊社のテーマは原点回帰。中小企業、個人事業主、そして起業家にとって、真に使いやすいソフトと、質の高いサービスを提供していきたい」と力説した。

写真 同社代表取締役社長の岡本浩一郎氏。「親しみやすさをアピールするために、女優の菊川怜さんにご協力いただいた。イメージキャラクターを登用するのは弥生初の試み」という。

 「弥生会計09」は「使い勝手」と「業務効率化支援」をテーマに機能を強化した。具体的には、取り引き辞書の自動並べ替え機能や、Excel書き出し帳票を追加したほか、残高試算表、決算書などの印刷レイアウトを改善した。また、導入時に初期設定の手間を削減する、勘定科目などの業種別テンプレートもダウンロード提供するという。

 テンプレートについては「弥生08シリーズ」でも一部業種でダウンロード提供していたが、「提供開始後に4500ダウンロードを記録し、ユーザーに好評だったことを受けて、今回から不動産、飲食、小売り、建設、理容・美容、一般医療(個人)の6業種に対応した」(弥生 マーケティング部 立掘隆氏)という。当初は勘定科目のテンプレートのみだが、今後は簡単取引入力、仕訳辞書テンプレートのダウンロード提供も予定している。

 また、中小企業では、営業などのほかの業務と経理業務を兼任するケースが多いことを受け、賃料や光熱費など定期的に発生する取引項目については仕訳入力を自動化し、毎回同じことを入力する手間を省く「取引予定表」機能も追加。平成20年4月決算分から変更される「法人事業概況説明書」、平成20年3月の消費税法一部改正を受けた「消費税申告書」のそれぞれについても、新様式の書面フォーマットに対応したという。

 「弥生販売 09」では、見積り書をはじめ、あらゆる書類作成で必要となる台帳(マスタデータ)登録において、フォーマットに合わせて必要事項を入力するだけで簡単に登録できる「かんたん台帳登録」機能を搭載。『台帳を管理する際、コード番号の付け方に苦労する』といったユーザーの声を受け、「台帳コード自動付番」機能も追加した。また「弥生給与 09」では「後期高齢者医療制度の変更」などあらゆる法令改正に対応し、「安心して確実に役立ててもらえる」製品に仕上げたという。

写真 「弥生 09シリーズ」のラインナップ。「弥生会計 09 スタンダード」は4万2000円、プロフェッショナルは8万4000円(税込み)。

 一方、サービス面では、全国の宿泊施設やスポーツ施設などを格安料金で利用できる「福利厚生サービス」を、サポート契約を結んだ全ユーザーに提供する。試験的に運用してきた札幌カスタマーセンターも、この10月、60席から最大146席まで規模を拡張し、サポート契約ユーザー向け「一般仕訳相談サービス」にさらに注力していくという。

 ただ同社の08年度の売上高は93億2000万円と、前年の93億7900万円から若干落ち込む結果となっている。岡本氏はこれを指して、「08年度は、09年度以降のさらなる成長に向けて“かがんだ”1年だった」と解説した。

 「弊社の顧客の中核は、あくまで中小企業、個人事業主、そして起業家。これらの顧客の支持を受けて、会社も成長できた。その点、08年度までは顧客層のフォーカスが若干ブレかかっていた部分もあったように思う。しかし、09年度のテーマは原点回帰。08年度はそのための準備期間だったといえる。これらのユーザー層にフォーカスした製品、サービスの強化によって、09年度は102億2700万円の売り上げを見込んでいる」(岡本氏)

 なお、今後は全国の税理士と協業して企業の自計化を促進する「弥生プロフェッショナルアドバイザープログラム」を引き続き推進するほか、SaaSでの製品提供も引き続き検討し、「2010年度(2009年10月以降)から提供する予定だ」(岡本氏)という。

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