仮想マシンイメージの作成は「コマンドラインで数分間」

「Ubuntu 8.10」リリース、サーバ版は仮想化機能を強化

2008/10/31

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 Ubuntuチームは現地時間の10月30日、Linuxディストリビューションの最新版「Ubuntu 8.10」のサーバ版およびデスクトップ版をリリースした。半年ごとの定例アップデートとなる。Linuxカーネル 2.6.27を採用し、デスクトップ環境として「GNOME 2.24」を、X Window Systemに「X.Org 7.4」を搭載している。

 サーバ版「Ubuntu 8.10 Server Edition」では、まず仮想化機能の強化が図られた。「vmbuilder(Virtual Machine builder)」によって、コマンドラインを用いて5分以内に仮想マシンのイメージを作成できるという。vmbuilderはKVM、XenおよびVMwareに対応している。また、仮想アプライアンスのプラットフォームとして発表された「JeOS」(ジュース)がサーバCDに同梱され、インストール時のオプションとして選択できるようになった。

 開発環境に関しては、Apache Tomcat 6.0およびOpenJDKがフルにサポートされた。ほかに、ウイルス対策の「ClamAV」、スパム対策の「SpamAssassin」がメインリポジトリに用意され、メールサーバとしてのセキュリティ対策が強化された。また、RAIDサポートの改善のほか、Samba 3.2によるクラスタ構成のファイルサーバのサポート、ネットワーク経路の暗号化にも対応する。

 Canonicalはこれを踏まえ、プレスリリースの中で「Server Editionは、クラウドコンピューティングを取り入れ、仮想化やメールサーバ機能の強化、Java開発および導入といった、管理者や開発者を支援する幅広いサービスを提供する」とコメントしている。

 一方デスクトップ版では、新しい「Network Manager 0.7」によって、第3世代携帯電話(3G)の対応を強化した。これまでサポートされてきたWi-Fiだけでなく、対応のモデムを介して3Gネットワーク網に接続できるようになる。また、PPP/PPPoEの管理、固定IPアドレスを持つデバイスの管理、デバイスごとのルーティングの管理などができるようにうなった。

 USBドライブからのインストールや、USBドライブへのインストールが可能。USBドライブに環境を構築し、デスクトップ環境を持ち歩いて任意のPCで起動して利用できるという。今回のリリースではデスクトップ版以外に、MID端末向けの約500MBのUSBドライブ用イメージも用意されている。128MB以上のメモリ、4〜7型のタッチスクリーンディスプレイ、低いプロセッサパワーなどに最適化されているという。

 デスクトップ環境のGNOME 2.24 Desktop Environmentでは、ファイルブラウザ「Nautilus」でタブ切り替えに対応したバージョンを搭載。アーカイブ管理ソフト「File Roller」はALZ、RZIP、CAB、TAR.7Zなどのアーカイブ形式に新たに対応した。X Window SysmtemのX.Org 7.4はホット・プラグ対応が改善され、より多くのタブレットやキーボードなどの入力デバイスに対応するようになったという。メディアプレーヤーの「Totem」や「Rythmbox」にはBBCチャンネルが追加され、映像やラジオなどを視聴できるという。

 GNOMEが提供する新しいゲストセッション機能により、利用中のデスクトップでログオフすることなくゲストセッションを開始できるようになった。ゲストアカウントでは、ファイルをローカルに保存することや、システム設定の変更、ほかのユーザーのファイルにアクセスするといった操作ができない。ゲストセッションを終了すると、元のユーザーのパスワード入力画面に戻る。

 なおUbuntu Japanese Local Community Teamによると、ライブ環境での日本語サポートに加え、Japanese Teamによる追加パッケージを含んだ「Ubuntu 8.10 Desktop 日本語 Remix CD」は、10月31日中にリリースする予定という。

(@IT 高橋睦美)

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