日本版LinkedInとなれるか
ビジネス向け実名登録SNS「CU」を使ってみた
2008/11/05
ヤフーは11月4日、ビジネスパーソン向けSNS「CU」(シーユー)のベータテストを開始した。利用は無料だが、登録には既存ユーザーからの招待とYahoo! JAPANのIDが必要。
完全招待制、実名登録、職務経歴や資格・スキル、自己紹介の登録など、ビジネスの人脈作りを念頭に置いて設計されたSNSだ。参加者が互いに友人・知人を紹介し合い、人脈構築をサポートするサービスという。
ビジネス向けSNS「CU」(シーユー)のマイページの例(まったくビジネスと縁遠そうな服装の記者だが……)ユーザー一覧をパッと見た瞬間に感じる新鮮さ
原稿執筆中の11月5日18時現在で登録会員数は1700人前後。ベータサービス開始1日目で、まだできたてほやほやだ。14時の時点で1500人程度だったので1時間に50ユーザー程度のペースで増えているようだ。
CUをSNSプラットフォームとして見ると、機能的に目新しいものはまったくないといっても過言ではなさそうだ。プロフィール登録・検索、プライベートメッセージの送受信、コミュニティ機能など、SNSのお手本のようだ。悪く言えばありもののOpenPNEのようなフレームワークを動かしただけのような印象もある。せっかくマイページに大きく表示されるカレンダーだが、共有機能も実装されていない。
しかし、ログインしてみると、従来のSNSとはかなり雰囲気が異なることに気が付く。ごくわずかな例外を除いて、ユーザーがほぼすべて実名で登録しているのだ。今のところおそらくIT系のユーザーが多いからだと思うが、どこかで見た名前もたくさんある。
顔写真を登録しているユーザーも多い。登録ユーザー100人中、10〜20人が正面または横顔の写真を掲載している。例えば比較としてmixiの「mixiを仕事にどう活かす?」というコミュニティで参加ユーザーを表示してみると、実名か、日本人の名前らしいものを登録しているユーザーは100人中2、3人程度。有名人以外の顔写真(本人のものと思われる)を掲載しているのは100人中5人程度と、その違いがハッキリする。
「お願い」ベースだが、実名登録を基本としている。今のところそれでもニックネームを使うという人はごく少数派だ
実名かどうかは必ずしも分からないが、「姓+名」という日本人の名前がずらずらと並ぶSNSのメンバーリストは新鮮だ。顔写真を公開しているユーザーも多いさらに、勤務先の企業名や所属をオープンにしているユーザーが多いのも目を引く。電話番号やメールアドレス、職歴や学歴などはデフォルトでは「コネクション」のあるユーザー、それももっと高いランクに指定したユーザーにのみ見える設定になっている。しかし、今のところ自ら「CU全体に公開」を選択している積極的なユーザーが多いようだ。mixiのマイミクに相当する、ほかのユーザーとのつながりを表す「コネクション」は星の数が1つから3つまででユーザーが設定できる。星の数によって、プロフィールの個別項目の公開範囲をコントロールできる。
「冷やかし半分」や、「ものは試し」ということもあるだろうが、人脈を広げるという点に、これまでのSNSになかったものを期待して登録したユーザーが多いのかもしれない。CUはまだオープンしたばかりだが、右を見ても左を見ても匿名ベースというゆるいコミュニティ感に飽きてしまったユーザーの心を捉える可能性がありそうだ。
mixiでいう“マイミク”の「マイコネクション」は3段階のランクで管理できる。ランク別に各種情報の公開範囲を決められる英語圏で好調なビジネスSNS「LinkedIn」
CUは米LinkedInのサービスを参考に設計したという。LinkedInは2003年5月に、SNSとしては後発としてサービスインしたが、人脈ネットワークを通じて仕事や人材、ビジネスのタネを探せるというアイデアが受け、会員数を着実に伸ばしている。
同社によれば2008年11月までに登録ユーザー数は3000万人を超え、ユーザーの職種も150の産業分野にわたっているという。調査会社のcompeteによる指標では、2008年9月には月間訪問ユニークユーザー数は800万で、前年同期比182%の増加(つまり約2.8倍)と順調だ。MySpace.comの6000万ユニークユーザーやFacebook.comの4000万ユニークユーザーという数字からするとまだ弱小だが、伸び率ではダントツだ。FacebookはMySpaceの背中が見えるまでの成長を見せて前年比70%となっているが、MySpaceは逆に前年比15.7%の減少となっている。
収益でみても、サービス開始後3年足らずの2006年3月に単月黒字化達成を発表。2005年秋に導入した60ドルから2000ドルのレンジにあるプレミアムアカウントの普及により収入も増え、2008年の売り上げは7500万〜1億ドルと見積もっているという。SNSブームは一巡した感もあるが、ビジネスパーソンをターゲットとしたSNSは、特に人材や組織の流動性が高い米国では成功しつつあるわけだ。
国内でもビジネスSNSをうたうサービスとして、「SBI Business」、「Bizzo」、「BizPal」などがあるほか、2007年9月には米LinkedInが日本参入を発表している(現在日本語サービスは未発表)。ビジネス寄りプロフィールの詳細さ、人脈作りの仕組みという点ではSBI Businessがリードしているように見えるが、それでも2008年10月現在で登録会員数は7万人。まだどこも国内向けは模索段階だ。
ただ、SNSのときも数年遅れでトレンドが日本に上陸したことや、想定利用者のほとんどがソーシャル系サービスを一通り体験し終わったこと、コンシューマ向けSNSではパッしないとはいえヤフーというインターネットの一大ブランドが、ややサイドプロジェクト的においをさせながらも乗り出してきたことなどを考え合わせると、今後こうしたビジネス系SNSが日本で立ち上がる可能性もあるのかもしれない。
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