マイクロソフトがクラウド戦略に自信、その理由は?Windows Azure発表で勢い

» 2008年11月18日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 「マイクロソフトのクラウド・コンピューティングはビジョンだけではない。すでにどういうサービスセットが提供できるかを示している」。米マイクロソフトのシニアバイスプレジデントで、米国とカナダを除く世界の現地法人を統括するジャンフィリップ・クルトワ(Jean-Philippe Courtois)氏は、同社が提唱するクラウド・コンピューティングの世界をこう説明する。同社はクラウド向けOSの「Windows Azure」を発表したばかりだが、「インフラとしてはかなり広範囲なプラットフォームであり、世界中の顧客に提案していく」と今後の展開に自信を見せる。

米マイクロソフトのシニアバイスプレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏と日本法人 代表執行役 社長の樋口泰行氏(左)。クルトワ氏はマイクロソフト インターナショナルの担当プレジデントでもある

 マイクロソフトにとってクラウド・コンピューティングは従来のサーバインストール型のパッケージソフトウェアと並ぶ存在だ。クルトワ氏は同社が考える企業情報システムの将来について、「例えばソフトウェアをオンプレミス(自社運用型)で使う選択肢も提供できるし、パートナーのホスティングサービスで使う方法、マイクロソフトが運営する世界のデータセンターでホスティングする方法も提案できる」と説明し、「選択肢を提案できること。ハイブリッドこそが『ソフトウェア+サービス』戦略のメリットだ」と話した。

 ハイブリッド型であれば、顧客は一度にクラウド環境に移行するのではなく、企業の規模やニーズに合わせて「ペースを変えることができる」(クルトワ氏)のも特徴だ。ただ、企業がクラウドの利点を無視し続けることは難しいとして「何らかの形でクラウドが使われるようになる」と考える。

 マイクロソフトが考えるクラウドは3つのレイヤで構成する。基盤レイヤはWindows Azureで、そのうえにサービスレイヤとアプリケーションレイヤが乗る。クルトワ氏はAzureについて「いわばWindowsサーバがクラウドの中にある」と説明。サービスレイヤではデータベース機能を提供する「Microsoft SQL Services」や.NETアプリケーションをクラウドで動かす「Microsoft .NET Services」などがあり、クルトワ氏は「多くのプラットフォームとの相互接続性が確保できる。PythonやRubyとも互換性がある」と説明した。

 アプリケーションレイヤについては、オンラインで機能を提供する「Exchange Online」「SharePoint Online」の正式版が11月17日に発表された(発表資料)。「Office Live」「Windows Live」などはすでに提供していて、クルトワ氏は「従ってビジョンだけでなく現実のサービスセットが始まっている」と強調。Exchangeサーバのホスティングサービスは世界で2000万人のユーザーがいることも付け加えた。「マイクロソフトは非常に広範囲な戦略を採り、クラウドサービスをコンシューマ、ビジネスに対して提供していく」

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