「SAP as a Service」で業務プロセス設計、SAPがBPM新製品「SAP NetWeaver Business Process Management」

» 2008年12月03日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 SAPジャパンは12月3日、業務プロセスの設計、実装ができる「SAP NetWeaver Business Process Management」(SAP BPM)を12月18日に提供開始すると発表した。統合開発環境である「SAP NetWeaver Composition Environment」のコンポーネントの1つとして提供する。

 SAP BPMは業務プロセスモデリングの標準であるBPMNに対応。Eclipseベースのツールを使って、ビジネスプロセスのモデリング、設計、ワークフロー、イベント処理、ユーザーインターフェイスなどを定義し、アプリケーションに実装できる。SAPジャパンのバイスプレジデント ビジネスプロセスプラットフォーム本部長 福田譲氏は「業務部門の人とIT部門の人が同じ言葉で議論できるようになる。伝言ゲームによる混乱を避け、業務プロセスの企画から実装まで一気通貫で実現できる」と話した。

SAPジャパンのバイスプレジデント ビジネスプロセスプラットフォーム本部長 福田譲氏

 SAP BPMは、ERPの機能を業務の視点で分解、再構成した「エンタープライズ・サービス」を組み合わせることで業務プロセスを開発する。SAPは2800以上のエンタープライズ・サービスをすでに用意しているが、NetWeaverのシステム連携機能を使うことで他社アプリケーションや手組みのカスタムアプリケーションをサービスとして呼び出して組み立てることが可能。エンタープライズ・サービスはレポジトリである「SAP NetWeaver Enterprise Service Repository」に格納する。エンタープライズ・サービスを業務別にグループ分けした「ESバンドル」もあり、業務プロセスの効率的な開発を可能にする。

 SAPのERPパッケージ「SAP ERP 6.0」もエンタープライズ・サービスの集合体であるといえる。SAP ERPに含まれるエンタープライズ・サービスをSAP BPMで切り出して、ほかのサービスと組み合わせて新しい業務プロセスを開発できる。SAPジャパンのビジネスプロセスプラットフォーム本部 事業開発マネージャー 神沢正氏は「SAP ERP 6.0は従来のパッケージの顔のほかに、エンタープライズ・サービス群として“SAP as a Service”の顔がある」とその柔軟性を強調した。

 SAP BPMの価格は「非公開」(同社)。12月17日以降に国内数社のパイロットプロジェクトに提供開始し、一般出荷は6月末までに始める予定。2009年度中に10社以上の導入を目指す。

「SAP NetWeaver Business Process Management」。クライアントはEclipseベース

 SAPジャパンはSAP開発者の支援も強化する。SAPコンサルタント、開発者、システム管理者向けオンラインコミュニティ「SAP Community Network」(SCN)の一部情報を日本語化し、日本人向けのフォーラムを設置する。SAPジャパンによるとSCNの登録者数は世界で130万人。うち日本人は3万人以上が登録していて、国別では世界で5番目という。

 また、ビジネスプロセスを設計、実装するコンサルタント向けの「ビジネスプロセス・エキスパート認定制度」を設立し、認定試験、トレーニングコースの提供を開始する。すでにIBM ビジネスコンサルティング サービスのコンサルタント3人が認定資格を取得したという。

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