常時3000点の出品、年間7万人が被害との推測

MS、ネットオークションを介した海賊版対策を強化

2008/12/04

 マイクロソフトは12月4日、インターネットオークションを通じて売買されているWindowsの海賊版対策を強化することを発表した。インターネットオークション事業者と協力して偽造ソフトウェアの出品者監視を強化するほか、海賊版を購入してしまったユーザー向けの相談窓口を設置し、そのリスクを訴えていく。

 海賊版は路上などで売買されることもあるが、捜査しやすいこともあって、取り締まりの結果減少傾向にある。一方で、身元を把握しにくいインターネットオークションを利用しての売買が増えているという。マイクロソフトによると、Yahoo!オークションなどで常時約3000件の海賊版が出品されており、年間7万人程度がそれを購入したと見られているという。

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ms02.jpg 正規のメディア(上)と偽造ソフトウェア(下)。裏面を見ると違いが一目で分かる

 インターネットオークションに出品される海賊版の中には、あたかも正規品であるかのように見せかけたものも多い。別のPCからはがしたプロダクトキーを添えた画像を付けていることもあるという。ただこの場合、正規のベンダが提供するプロダクトキーとは異なるため、当然ながら正規のアクティベーションは行えない。こうしたケースに備え、違法なアクティベーションのためのマニュアルや手順書が添付されるものまであるという。

 問題をさらに難しくしているのは、海賊版の提供が組織的に、国をまたいで行われていることだ。マイクロソフト 法務・政策企画統括本部長 伊藤ゆみ子氏によると、「中国など海外で偽造作業が行われ、それが日本に輸入されるケースが多い。一連の流れは組織的に行われているが、海外での行為を日本と同じように取り締まるのは難しい」と述べた。ちなみに、こうした海外製の海賊版は、付属する文書の日本語の表現が微妙におかしかったりするという。

 マイクロソフトでは、自社製品の著作権侵害もさることながら、海賊版を利用することでユーザーがさまざまなリスクにさらされることを懸念しているという。「悪意あるソフトウェアが混入するリスクもある。実際米国ではそうした例も報告されており、脆弱性やデータの流出につながる可能性がある」(伊藤氏)。もちろん、正規版ではないためインストールがうまくいかないこともあるし、メーカーによるサポートも受けられない。

 マイクロソフトではこれまでも、海賊版を利用することで生じるリスクの教育・啓発を行ってきたほか、WGA(indows Genuine Advantage)のようなアクティベーションを実施してきた。今回の取り組みではそれを一歩進め、ヤフーなどのオークション事業者や警察当局などと協力して、海賊版出品の監視体制を強化する。また、正規版と思い込んで海賊版を落札してしまった購入者向けに、電話による「Windows偽造品相談窓口」を設け、手元にあるものが偽造かどうかの見分け方や海賊版の危険性、注意点などを伝えていく。さらにインターネットオークション利用時の注意点と対策をまとめた「著作権保護サイト」を公開し、インターネットオークション利用者への注意喚起を行う。

(@IT 高橋睦美)

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