日本の会計基準、財務諸表、消費税に対応
SaaSアプリの「NetSuite」、日本市場対応版「Release J」発表
2008/12/09
SaaSアプリケーションベンダのネットスイートは12月9日、日本の会計基準や財務報告に対応した統合SaaS製品「NetSuite-Release J」を提供開始すると発表した。ERPのほかにCRM、電子商取引の機能を、同一のSaaSプラットフォーム上で使うことができるスイート製品で、米ネットスイートのCEO ザック・ネルソン(Zach Nelson)氏は「シングルスイートですべてを包含する日本初のSaaSアプリケーションだ」と話した。
米ネットスイートのCEO ザック・ネルソン氏従来のNetSuite製品をベースに、日本市場向けにローカライズした。資本提携しているトランスコスモス、ミロク情報サービスがローカライズに協力。18カ月かけて開発した。日本市場向けに加えた機能は4つ。1つは日本の消費税への対応だ。顧客ごとに端数の処理方法を定義したり、価格の内税と外税を変更可能。消費税計算書をRelease Jから直接作ることもできる。手形管理機能も付けた。手形の払い出しと受け取りをサポートする。手形の裏書譲渡なども可能だ。
また、顧客の締め日を設定して詳細な月次明細を作成可能で、顧客に対して適切なタイミングで明細書を作成できるようにした。日本の会計基準に対応した機能も付け、Release Jから日本の財務諸表のスタイルで、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を出力できる。損益計算書の項目をドリルダウンし、契約の詳細を調べる機能もある。
Release JはERPとして財務管理のほか、受注と在庫、配送、プロジェクト管理の機能を持つ。CRMとしてはセールス、マーケティング、顧客サポート管理の機能がある。また、電子商取引としてはカタログ作成機能、ショッピングカート、購入手続き、クレジットカード決済機能などがある。アップデートを年に2回行って機能を追加していく。
ネットスイート日本法人の代表取締役社長 東貴彦氏Release Jでは、エンドユーザーは自らの役割に応じて処理すべきタスクがログイン時に割り振られるようになっていて、ERPやCRMなどアプリケーションの違いを意識することはない。ネルソン氏は「全員が同じスイート製品を使うことでトレーニングコストも抑えられる」と話した。Release Jの価格は基本契約が月6万円で、1ユーザー当たり月1万3000円。2006年に設立されたネットスイートのこれまでの国内顧客は50社だが、Release Jの提供開始で大幅増を狙う。
Release Jがターゲットにするのはハードウェアや運用管理のコストを削減したい中堅企業。しかし、大企業の子会社でも利用されている。ネルソン氏の説明によると、旭化成せんいの米国子会社がNetSuiteを使っている。この米国子会社は元々、SAPの利用を想定していた。その場合の運用管理コストは売り上げの3%と見積もっていたが、NetSuiteでは売り上げの0.1%で済むことが分かり、NetSuiteにスイッチしたという。
SaaSベンダとしてネットスイートと比較されることが多いセールスフォース・ドットコムは汎用的なプラットフォームを用意し、開発者やISVが開発したアプリケーションを稼働させられるようにしている。対して、ネットスイートはISVがすでに提供しているアプリケーションと個別に連携させることを重視している(参考記事)。データリポジトリはNetSuiteが管理し、ISVのアプリケーションも含めて、垂直統合的にサービスが提供される形態だ。国内ではトランスコスモス、ミロク情報サービスのほかに富士通やウイングアーク テクノロジーズなどがパートナー。パートナーが持つアプリケーションとRelease Jを連携させて新たなソリューションを開発することも考えられる。
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