サイバー犯罪による企業の損失額は全世界で1兆ドル超

不況で解雇された従業員が重要データの脅威に、マカフィー

2009/02/06

 マカフィーは2月6日、世界中の企業における、知的財産など重要な情報の盗難による被害額は1兆ドル以上に上るという調査結果を明らかにした。また、世界的な景気低迷がサイバー犯罪に影響を与える可能性もあるという。

 この調査「無防備な経済:情報経済の保護」は、マカフィーの委託により、米パデュー大学情報保護・セキュリティ教育研究センター(CERIAS)が実施した。米国、英国、ドイツ、日本、中国、インド、ブラジル、UAE(ドバイ)各国の企業、800社以上のCIOを対象に調査を行い、日本も含めた各国の情報セキュリティ専門家の協力を得て結果をまとめた。

mcafee01.jpg 米マカフィーのワールドワイド フィールドマーケティング担当シニアバイスプレジデント ロバート・ハンフリー氏

 調査対象企業における知的財産など重要データの損失額は、2008年だけで合計46億ドル相当に上った。これを基に、世界の企業数などを踏まえて推測すると、2008年の全世界の企業におけるサイバー犯罪によるデータ損失額は、1兆ドル以上になるという。「これでも控えめに見積もった数字。中小企業における被害額は算定に入っていない」(米マカフィーのワールドワイド フィールドマーケティング担当シニアバイスプレジデント、ロバート・ハンフリー氏)。なお、調査企業におけるダメージの修復に要した費用の総額は約6億ドルという。

 ハンフリー氏によると、こうした情報はさまざまな手法で盗み出される。その1つが、企業の経営層を狙うするフィッシング詐欺だ。実際、マカフィーの幹部にも、海外出張のタイミングを狙って「海外でのアクセスにはセキュリティプロファイルの更新が必要なので、情報を入力してください」と求めるフィッシングメールが届いたことがあるという。

 調査からは、世界的な経済不況によって、知的財産や機密情報がさらに危険にさらされる可能性も浮かび上がった。回答者の39%が、経済情勢が悪化する中、これまで以上に重要情報が危険にさらされるだろうとした。中でも懸念されるのは、金銭的に苦しい状態に陥った従業員が、自社の重要なデータを持ち出す可能性で、「景気低迷による解雇した従業員が最大の脅威である」とした回答者は42%に上った。

 「多くの企業は、伝統的に外部からの脅威によるID盗難に注意を払ってきた。しかしいま、一番大きな懸念は、内部の従業員によるデータの盗難になっている」(ハンフリー氏)。ただ、日本では若干状況が異なり、依然として外部からのデータ盗難の脅威に対する懸念が高いという。

 それでも「不景気のため解雇される人々が増えている。知的財産を保護し、セキュリティを守ることがますます重要になっている。組織犯罪が増える中、こういう警告から目を背けてはならない」とハンフリー氏は述べている。

 また、今回の調査に協力した情報セキュリティ大学院大学教授の内田勝也氏は、「日本では特に個人情報保護が注目され、それ以外の機密情報についてはあまり重きが置かれてこなかった。しかし、企業が守るべき情報は個人情報だけではない」と指摘。「個人情報」「財務情報」「物理セキュリティ」といった要素ごとに縦割り式に保護するのではなく、Chief Risk Officer(CRO)を中心としたリスクマネジメント体制の構築が必要であると述べた。

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(@IT 高橋睦美)

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