SAPと豆蔵が協業 「大陸の両端」をSOAがつなげる要求開発に基づくコンサル、トレーニングを提供

» 2009年02月12日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 SAPジャパンと豆蔵は協業し、SOA関連のコンサルティングや開発者のトレーニング事業を共同で行うと発表した。オブジェクト指向によるスクラッチ開発を強みとする豆蔵と、ベストプラクティスにこだわってきたSAPは「大陸の両端にいた」(豆蔵OSホールディングス 代表取締役社長 荻原紀男氏)が、SAPがサービス指向を進める中で、お互いが補完し合えると判断した。

豆蔵OSホールディングス 代表取締役社長 荻原紀男氏

 豆蔵は独自の要求開発方法論である「enThology」を持ち、企業の要求を掘り起こした上での独自開発が得意。対してSAP ERPはこれまでの経験から導き出したベストプラクティスが組み込まれた標準ベースの世界だ。その世界では独自開発というカスタマイズはできるだけ少なくするのが最適化の道と信じられている。そのため豆蔵は「いままで横目で存在を見つつも、違う道を歩いてきた」(豆蔵の代表取締役社長 山岸耕二氏)。

 変化はSAPから生まれた。SAPは「SAP NetWeaver」と呼ぶSOA基盤を整備していて、その上ではSAP ERP、独自アプリケーション、レガシーアプリケーションがサービス化して利用される。SAPはすでに2800種のサービスを提供し、オープン技術への対応も進めている。独自アプリケーションをNetWeaver上で統合できる環境が整ってきたわけだ。山岸氏は「ミスター標準化(SAP)とミスター差別化(豆蔵)が融合したミスター最適化になる」と話した。

 豆蔵はSAPジャパン、SAPのパートナーと共同でSOA導入を行う専任のコンサルティングチームを5人規模で設立した。マーケティングや営業活動、コンサルティングを行う。コンサルティングサービスではビジネス要件の分析からサービス定義までを行う、モデリング中心の「ビジネスプロセス設計支援サービス」と、SAP NetWeaver上で動作するコンポジットアプリケーションを構築するための「分散システム設計支援サービス」を提供する。豆蔵は初年度で10件程度のコンサルティングサービス提供を見込んでいる。

写真右から豆蔵の山岸氏、荻原氏、SAPジャパンの福田氏、神沢正氏

 SAPが豆蔵に期待しているのは人材育成だ。目的は旧来のSAPのERPエンジニアをSOAアーキテクトにスキル転換させること。豆蔵とSAPは、SOAに基づくビジネスプロセスを設計するためのトレーニングコース、SAP NetWeaver上で稼働するJavaアプリケーションを開発するためのトレーニングコースを共同で提供する。豆蔵はSAPの開発者コミュニティ「SAP Developer Network」にも参加し、技術情報の提供を行う。SAPジャパンのバイスプレジデント ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長 福田譲氏は「新しい風をSAPのエコシステムに吹き込んでほしい」と豆蔵への期待を述べた。豆蔵では初年度に10件程度のオンサイトトレーニングの提供を目指す。

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