有料アプリに集まる期待

市場に期待するAndroid開発者たち

2009/02/23

 Google Android携帯用アプリケーションの開発者は、競合するアップル iPhoneアプリの開発を継続しながら、拡大するAndroidの顧客需要に対応するための取り組みを加速させている。また開発者の間では、Androidプラットフォームへのアクセスを広げるさまざまな手法についても活発に議論されている。

 ニューヨークで開催された「New York Linux Users Group」(NYLUG)のミーティングで、同市に本拠を置くモバイル開発専門コンサルティングおよびアプリケーション開発会社、Oliver Coadyのパートナーであるネイサン・フレータス氏は、有料アプリの登場によってAndroidアプリは今後質量ともにさらに大きく飛躍するだろうと述べた。

 「有料アプリケーションは確実にAndroid開発を促進する。私は現在、iPhone向けのアプリケーション開発と並行して、それらにAndroidポートを組み込んでいる」と、フレータス氏は2月18日のNYLUG会合で、Android開発者や今後開発を検討する技術者を前に語った。「市場はますます前向きになり、Androidアプリへの期待は高まりつつある。iPhoneは広く成功したが、Androidも同じように必ずヒットするだろう」

 実際、システム管理サポート会社、Brandorrの開発者であるブライアン・グプタ氏は、今後12カ月以内に「Androidは幅広い成功を収めるだろう」と述べ、「Windows Mobileの市場シェアを奪い、iPhoneの現実的な競争相手になる」と予想する。同氏は、SprintによるAndroid採用もまた、同プラットフォームの普及を加速するものになるとみている。

 一方、PalmでJavaコードのプログラムマネージャを務めた経験もあるフレータス氏は、Androidを「史上初のオープンモバイルプラットフォームである」と指摘するとともに、「このプラットフォームには、じつに多くの優れた手法が含まれており、まさに初のオープンプラットフォーム開発ツールだ。こうした完全なクロスプラットフォーム開発環境は、これまで誰も実現し得なかった」と賞賛した。

 しかもAndroidは、「Android 1.1 SDK Release1に、Eclipse IDEサポートの有無に関係なく、すばらしいSDK(ソフトウェア開発キット)を用意している」とフレータス氏。特に異なる言語で記述されたコードをデバッグする場合、手作業でコードに手を入れることも、Eclipse IDEを利用することも可能である点が同氏は気に入っていると話す。フレータス氏はまた、開発者のPC上で稼働する仮想モバイルデバイスのAndroid Emulatorなど、さまざまなお気に入りの機能についても解説した。

 さらにiPhone開発環境との比較では、「それぞれのAPIには大きな違いがある。確かにiPhoneはよく考えられた、すばらしいデバイスであり、卓越したユーザーエクスペリエンスを実現している」とフレータス氏。しかし、Androidモバイルアプリケーションをより緊密に連携できるようにするために、幅広くオープンなインタフェースを収集、設計、実装するOpenIntents.orgサイトを例に挙げ、「iPhoneの世界はAndroidの場合と違って、開発者にサービスのエコシステムを提供することにそれほどフォーカスしていない」と指摘した。フレータス氏はこのほか、JavaScriptを利用してWeb開発者がiPhoneやAndroid、BlackBerry SDKのコア機能を利用できるようにする開発ツール、PhoneGapプロジェクトにも言及した。

ルートを目指せ

 NYLUGミーティングの出席者たちは、システムのルートへアクセスする方法や、グーグル開発者たちが意図しなかったこと、例えばDebian Linuxシステムを追加するなど、Androidに取り組むためのさまざまな手法についても議論をスタートさせた。Android携帯はDebianをインストールしたり、カスタムファームウェアを利用するようには設計されていない。しかし開発コミュニティでは、それらを実現する方法がすでに考案されている。システムのルートへアクセスすることで、開発者はブートロードをアップデートしたり、カスタムファームウェアをインストールすることが可能になる。ルートへ到達するためにはAndroid OS RC29か、それ以下のシステムが必要になるが、それらはいくつかの開発サークルで入手可能だという。

 ルートにアクセスし、カスタムファームウェアを実行する理由はさまざまだ。例えば、バグフィックス、スプラッシュ画面の変更、DebianやBusyBoxなどのアプリケーションのインストール、役に立つカーネルモジュールの追加、あるいはマルチタッチやティザリング機能の追加などがある。

 グプタ氏はNYLUGのプレゼンテーションで、Linuxコミュニティに開発者の大集団が存在することから、「グーグルがAndroidのベースとして、Linuxを選択すると信じている」と述べた。さらに同氏は、Androidプラットフォームの注目すべき機能をいくつか取り上げ、Android Cupcake開発ブランチによる新機能とバグフィックスを紹介した。グーグルはAndroidのコード開発をパブリックおよびプライベートブランチで進めている。「グーグルによると、新しい、未発表のハードウェアやドライバなどをサポートするためにプライベートブランチを維持しているという」と同氏。

 グプタ氏によると、プライマリ開発プラットフォームは、Ubuntu Linuxの32ビットおよび64ビット版(32ビット版が好みだという)、そしてMac OS X環境だ。開発者はAndroid Developer Phone 1(ADP1)も入手すべきだという。ADP1はT-Mobileだけでなく、他のサービスでも利用できる。

 さらにグプタ氏は、Androidコードをノートブックで実行できるようにするx86ブランチについても開発者は考慮すべきだとしている。

 なお携帯電話関連ニュースとして、NeoWinが報じたところによると、グーグルは「Mobile World Congress」でiPhone向けのオフラインGmail機能のデモンストレーションを行ったという。

 ノベルのデベロッパーリレーション担当副社長で、オープンソース「Mono」プロジェクトの創始者であるミゲル・デ・イカザ氏は、Android G1上で実行するMonoに関する記事をブログに掲載した。

(eWEEK Darryl K. Taft)

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