ソフトウェアAG、「不況のときこそSOAとBPMで収益を伸ばせ」「既存資産の有効活用」が支持され、連結収益16%増

» 2009年02月27日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 ソフトウェア・エー・ジーは2月27日、2009年の販売戦略に関する記者発表会を行った。2008年、同社のグローバルでの連結収益は7億2000万ユーロ(1ユーロ123.7円で約890億円)と前年比16%を達成。日本でも44億円の売り上げ、7億6300万円の営業利益を記録した。今後もSOAによる既存資産の再構成や、モダナイゼーション、ビジネスプロセスの自動化などを支援する製品群「webMethods ビジネス・インフラストラクチャ・スイート」などを拡販し、2009年はグローバルで4〜8%、日本国内では20〜25%の成長を目指すという。

 同社では従来、日本国内では代理店販売を行ってきたが、昨年から直販に注力。代理店販売については、顧客企業の業界知識に長けたパートナーとともに少数精鋭体制で展開してきた。また「全ビジネスの7割が既存インストールベースの案件から発生する」という見解から、250社の既存顧客にフォーカスして製品・ソリューションを提案してきた。

 同社代表取締役兼シニア・バイスプレジデント ジャパンのコリン・ブルックス(Colin Brookes)氏は「厳しい経済情勢の中でも、着実に成長を続けてきた。2009年、日本での目標は総収入50〜54億円、営業利益8億5000万円〜9億2000万円。現在、グローバルでの全売り上げのうち日本の占める割合は4%だが、2009年は5%に伸ばしたい」と力説した。

 製品戦略としては、SOAによる既存資産の再構成やモダナイゼーション、ビジネスプロセスの自動化を実現する「webMethods ビジネス・インフラストラクチャ・スイート」を中心にアピールしていく。特に近年、企業のビジネス環境とITインフラがますます複雑化している。本社内だけでも様々なビジネスプロセスが存在するが、支社や協力会社、販売チャネル、サプライチェーンのパートナー企業など、社外の多様な関係者ともビジネスプロセスを連携、同期させなければならない。

写真 SOA、BPMを実現する製品群、webMethods ビジネス・インフラストラクチャ・スイートの全体概要

 独SoftwareAG バイスプレジデント兼副CTO ギドー・ファルケンベルク(Guido Falkenberg)氏は、こうした状況について、「効率よくビジネスを運ぶためには、既存システムの再構成、有効活用を実現するSOAと、プロセスの自動化、効率化を支援するBPMがポイントとなる」と指摘。中でもSOAの鍵となる製品として、ESB製品「webMethods Enterprise Service Bus」を取り上げ、「アダプタのライブラリを持ち、メインフレームをはじめ、あらゆる既存システムを接続、統合できる。既存システムを活用しなから、より大量のトランザクションを処理できる、効率的なシステム体制を構築可能だ」とアピールした。

 一方、BPM製品「webMethods Business Process Management」は、ビジネスプロセスのデザインやシミュレーション、自動化、さらにはリアルタイムでのモニタリング・分析などを実現。人、システム、パートナーの確実な連携や、KPI駆動のビジネス文化醸成に貢献するという。

 「ビジネスプロセスがひと目で分かるUIが1つの特徴。これを使ってIT部門と現業部門の社員が対話をすれば、同一の見解の下、確実なプロセス設計が行える」(同氏)

写真 webMethods Business Process ManagementのシンプルなUI。プロセス設計を行うIT部門とユーザー部門間の円滑、正確な対話を支援

 webMethods製品の活用事例は豊富にあり、ビジネスプロセスを可視化して経理月末処理を25日間から7日間まで短縮したケースや、SOA環境における業務システム間の呼び出し関係を一元管理するサービスリポジトリ製品「CentraSite」と併用して、新製品商品化に要する時間を90%、受注処理を30%以上短縮したケースもあるという。

 また現在、Webブラウザ上で社内外の全関係者がコミュニケーションを取りながらビジネスプロセスをモデリングできる新しいコラボレーションツールも開発中。基本的にはwebMethods ビジネス・インフラストラクチャ・スイートの1製品としてラインナップする予定で、社内限定型、オープン型の2タイプを用意するという。詳細は未定だが、2009年第1四半期中に一部既存顧客に対してベータ版を提供、段階的に商品化を検討するという。

写真 ソフトウェア・エー・ジー代表取締役兼シニア・バイスプレジデント ジャパンのコリン・ブルックス氏(左)と、独SoftwareAG バイスプレジデント兼副CTO ギドー・ファルケンベルク氏

 ブルックス氏は、「確かにいま、世界的に厳しい経済情勢にあり、企業は支出を大幅に絞っている。しかし会社の内部に目をむけ、収益性を伸ばすことに注力している分、既存のプロセス改善の必要性に気付きやすくなっているはずだ。その点、この不況は弊社にとってはいいタイミング。今年もいっそうの業績向上を目指したい」と話している。

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