日米間の回線は年末に270Gbps、2011年には640Gbpsにまで拡大NTTコム、ジュニパーとの10年来の関係を語る

» 2009年03月04日 00時00分 公開
[大津心@IT]

 ジュニパーネットワークスは米国サンマテオでアナリストやメディア向けのイベント「Analyst Day」を2月23日〜24日に開催。プレス向け説明会では、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)が同社インフラ戦略の現状と今後を語った。

 説明を行ったのは、同社のグローバル事業本部 グローバルソリューション部 グローバルネットワーク部門 担当課長 福田健平氏。福田氏によると、NTTコムとジュニパーの関係は長く、NTTコムが1999年にNTT再編によって分割・分社化されて国際通信事業に参入して以来、約10年に及ぶという。NTTコムは、分社されてすぐの1999年にはジュニパーの最初の製品であるM-40を導入。続けて、2002年にはT640を、2008年にはT1600を導入。T640とT1600の導入に関しては、日本企業としては最初の導入企業となった。

福田氏写真 NTTコミュニケーションズ グローバル事業本部 グローバルソリューション部 グローバルネットワーク部門 担当課長 福田健平氏

 NTTコムは国際通信事業に参入して以来、各国との通信回線を強化。日本と海外諸国をネットワークで結ぶべく、各国のキャリアネットワークとの間を海底ネットワークなどで結んでおり、現在米国とは185Gbpsの回線でつながっているほか、アジア・オセアニア地域とは65Gbps、ヨーロッパとは15Gbpsでつながっている。ただし、昨今回線を伝わるデータ量が爆発的に増えており、「年率50%くらいの勢いで増加している。2008年も40%増加したと予測している。その要因としては、アジアにおけるインターネット人口の増加や、動画など広帯域を必要とするコンテンツの普及も大きい」(福田氏)と分析した。

 同氏は昨今の世界経済の低迷を考慮しても、2009年もネットワーク利用量は増加すると予測。日米間のネットワーク回線は、2009年末には270Gbps、2011年には640Gbpsにまで拡大しないとニーズに対応できないと予測し、今後も引き続き爆発的にネットワーク帯域へのニーズが拡大していくと予想した。

 このようなユーザーニーズに応えるべく、NTTコムでは前述のように2008年にT1600を導入した。その理由について、福田氏は「年々、爆発的に増加するネットワーク利用量、特に日米間の回線需要は急速に増えていた。これに対応するためには、ルータの増設などによるキャパシティアップが必須の状況だった」と説明する。しかし、当時利用していたT640をただ増設するだけでは、設備・運用コストが増加し、設置場所や電力も大量に必要になる。

 そこで、T1600へのアップグレードを検討を開始したという。アップグレードであれば、電源モジュールやバックプレーンなど一部のコンポーネントを差し替えるだけで、既存のバックボーンに配備されたT640の筐体を再利用しながら、同じスペースで2倍の回線容量を得ることができるからだ。操作性や互換性に関しても、アップグレードであれば同じJUNOS上で動作するため、安心である点も大きかったという。

 また、予想以上に効果があったのが省電力だという。T640を2台設置したのとT1600を1台設置したのを比較すると、T1600では約20%の電力削減が実現できたとした。また、福田氏は今後の傾向として、「先ほどの予測のように、今後も回線需要は拡大していくだろう。それに対応するためには、バックボーンを増強するためにルータの強化が必要になるが、その際にアップグレードによって持続的に性能を向上できる点や、省電力は非常に重要な要素になる。また、今後は仮想化技術も重要だ。ネットワークの仮想化などをうまく利用することで、効率を上げていきたい」と説明した。

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