マイクロブロギングがFacebookに及ぼす影響Twitter、FriendFeed機能を取り込み

» 2009年03月05日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 Facebookは3月4日(米国時間)、Webサイトの大幅なリニューアルを発表した。実施は3月11日。今回のリニューアルの特徴は、「Twitter」や「FriendFeed」など先行するマイクロブロギングサービスの機能を多く取り込んだことだ。

 Facebookのリニューアルにはパブリックページとプライベートページの統合や5000人のフレンド上限の撤廃など多数あるが、注目されるのは「ストリーム」(Stream、日本語版ではニュースフィード)機能だ。Facebookには、フレンドのFacebook上での行動や状態を一覧できる「ニュースフィード」機能がすでにある。しかし、ニュースフィードが更新されるのは10分ごと。新しいストリームではリアルタイムでフレンドの状態が表示される。多くのフレンドがいる場合は、フィルタ機能を使って表示するストリームの内容を見やすくすることができる。

 このストリーム機能はFacebook上の「Twitter」といえる。自分のいまの状態を投稿するためのボックスにはこれまで「What are you doing right now?」と表示されていたが、リニューアル後は「What's on your mind?」となり、リアルタイム性が強調される。

リニューアル後のFacebook
上記ページの日本語解説

 また、ストリーム機能は「FriendFeed」に近い機能も実装する。投稿ツールの「パブリッシャー」(Publisher、日本語版では投稿ツール)が用意され、テキストメッセージのほかに画像やリンク、動画などを投稿できる。Facebook用アプリケーションを使わなくても、Facebookのトップページから画像や動画を投稿できるのが、これまでとの違いだ。

 今回のリニューアルは、TwitterやFriendFeed、Tumblrなどマイクロブロギングと呼ばれる新しいサービスの流れに、Facebookが追いつこうとする試みだ。Facebookは2008年、Twitterを買収しようとしたがTwitter側が拒否した。買収提案額は5億ドルといわれ、大きな話題となった(参考記事:Twitter、その自信の根拠は)。

 その後、Twitterは3500万ドルに及ぶ増資を発表。わずか30人足らずで、売り上げをほとんど計上していない企業ながら、そのビジネスの未来に多くの人が期待しているのだ。2009年中には本格的なビジネス展開を目指すとしている。

世界最大のSNSはリアルタイムに

 Facebookのアクティブユーザーは1億7500万人。大学生向けのSNSと当初は見られていたが学生ユーザーの比率はすでに全体の半分以下。Facebook上でアプリケーションを実行できるようにプラットフォームをオープンにしたことが成長の起爆剤となった。Facebook上のアプリケーションを開発する開発者は66万人とFacebookは発表していて、アプリケーション数は5万2000以上だ。外部のブログなどをソーシャル化する「Facebook Connect」も発表し、そのプラットフォームをインターネット全体に広げようとしている。Facebookは世界全体のシェアでMySpaceを2008年に追い抜き、世界最大のSNSになったと見られる。

FacebookとMySpaceのユニークビジター数(compete.comから)

 Facebookはプラットフォーム上のアプリケーション実行に続き、ストリームによるリアルタイム性でユーザーとの結びつきを強めようとしている。しかし、この領域はアクティブユーザーが1年で900%増えたというTwitterや、Twitterの楽しみを拡張しつつ、「reblog」という新しい価値を提供するTumblrなどライバルは多い。Twitterの共同創業者 Evan Williams氏は米国のトーク番組である「Charlie Rose Show」に登場し、Twitterは5年以内に普通の人々が使うサービスになるだろうと語った。

 モバイルデバイスでの利用が増えたとはいえ、1人のユーザーが1日のうちで、インターネット上のサービスに割ける時間は決まっている。Facebookは先行する各サービスの機能を取り込むことで、ユーザー時間の囲い込みを狙っているといえるだろう。

 Facebook CEOのMark Zuckerberg氏はブログで、「人々は今後、何かのコンテンツを利用するためにFacebookを訪れるのではなく、ストリームをチェックし、参加するために訪れるようになるかもしれない」と説明している。

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