コベリティ、ビルド時の根本的欠陥を修正できる解析モジュール「Coverity Build Analysis」を発表

» 2009年04月14日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 コベリティは4月14日、ソフトウェアの解析モジュール「Coverity Build Analysis」を発表した。同製品は、解析スイート製品「Coverity Integrity Center」の一部として提供される。Coverity Integrity Centerの年間ライセンスは、1000行につき1万2250円。

チョウ写真 米コベリティ チーフアーキテクト アンディ・チョウ氏

 コベリティ 日本アジア担当マネージングディレクターのリッチ・セルート(Rich Cerruto)氏は、まずコベリティの日本での活動を説明。同社は2007年5月に日本での直販を開始し、2008年には前年比90%増の約4億円、2009年3月には前年上期比100%増を達成したという。同氏によると、2009年には7億円強の売り上げを達成する見込み。

 日本では、NTTドコモやリコー、ニコンなど36社が直販で導入し、販売代理店を通じて台湾や中国へ5社導入したという。直近では外為どっとコムが開発費コスト削減対策として同社製品を導入した。セルート氏は「リーマンショック以降、開発費削減を目指している企業は多い。外為どっとコムのように、バグを迅速に修正することで開発費の削減を目指している企業が多くなってきていることが、売上増につながっている」とコメントした。

画面イメージ写真 「Coverity Build Analysis」の画面イメージ

 Coverity Integrity Centerは、製品のソースコードなどを解析するスイート製品。静的解析を行う「Prevent」、構造解析を行う「Architecture Analysis」、動的解析を行う「Dynamic Analysis」、そして今回新たに発表されたビルド解析を行う「Build Analysis」の4製品で構成されている。

 Build Analysisは、ソフトウェア開発プロセスのビルド時に解析を行うためのソースコード解析ツール。解析できる言語はCとC++。ソフトウェアのビルドとは、ソースコードやそのほかの構成ファイルをまとめ、システムで実行できるようなファイルを作成することを指す。米コベリティ 共同設立者兼チーフアーキテクト アンディ・チョウ(Andy Chou)氏は、「現在のソフトウェアは非常に複雑になっており、例えばopenoffice.orgの場合、240万行のソースコードと3万個のソースファイルで構成されている。これを解析するのは非常に大変だ。また、ビルドが悪いと『速度が遅い』『壊れやすい』『ブラックボックス化する』といった問題が発生しやすい」と説明した。

 同氏によると、ビルド欠陥の根本的な原因は、「ユーザーによるソースコードの記述とマシンによる実行の間にブラックボックス的な壁がある」点にあるという。ソースコードの段階では、デバッグや静的・動的な解析によりこの問題を解決できるが、ビルド段階においても同様に解析を実行することによって、この問題に対応しなければならないという。このようにビルド解析を行うことによって「ビルドプロセスの可視化」や、ファイルのアクセス違反・リークされたファイルをチェックできる「ビルドの整合性チェッカー」を実現できるとした。

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