新プロジェクトが発足、安定性や応答性向上が目標

Firefoxのタブも、Chromeに似たマルチプロセス化へ

2009/05/08

 Mozillaファウンデーションは5月5日、将来のバージョンのFirefoxでタブごとに別プロセスを割り当てて動かす大がかりなデザイン変更を伴う新プロジェクト「Content Processes」の存在を明らかにした。ChromeやIE8は、一見単一のアプリケーションに見えながらも、タブごとに異なるプロセスが動いている。マルチプロセス構成とすることで、いずれかのタブがクラッシュしたりフリーズしても、ほかのタブへ悪影響を及ぼさなくなる。また、Firefoxは使い続けるとメモリリークが発生して徐々に処理が重くなるという問題が指摘されてきたが、こうした問題もタブを閉じるごとにプロセスが終了する構成とすることで緩和される可能性もありそうだ。

mozilla01.png 新プロジェクトの解説ページ(https://wiki.mozilla.org/Content_Processes)

 新プロジェクトは、これまでメーリングリストで議論していた内容を、デザインゴールや大まかなスケジュールとともに公けにしたもの。タブごとのマルチプロセス化による恩恵は、グーグルがChromeの発表時に広く宣伝したことで知られるようになったが、Mozillaプロジェクトの開発コアメンバーがマルチプロセス化の議論を始めたのは2008年9月以前にさかのぼる。Mozilla開発メンバーのボリス・ズバースキー(Boris Zbarsky)氏によれば、マルチプロセス化の議論を開始したのはIE8ベータの影響によるという。

3段階に分けてプロジェクトを推進

 Content Processesの目標として掲げられているのは、UIの応答性を上げること、コンテンツによって引き起こされるクラッシュや重たいレンダリング処理時の安定性を上げること、マルチコアCPUでのパフォーマンスを上げることの3つ。将来的にはサンドボックス化によるセキュリティ向上も視野に入れているものの、当面の目標とはしないという。

 まずフェーズ1として、2009年7月までには最低限のURL入力欄とページ表示ウィンドウだけを備えたものを作り、フェーズ2として2009年11月までにマルチプロセス化に必要な基本構成に作り替える。フェーズ3でエクステンション、互換性、パフォーマンスに取り組み、フェーズ4でマルチプロセスの管理やキャッシュの共有/非共有などの課題に取り組むという。

 同プロジェクトの解説ページによると、フェーズ3以降のタイムスケジュールについては、おおよその見当すらつかないという。このため、マルチプロセス化されたFirefoxが、期待通りのパフォーマンスや安定性を実現してエンドユーザーのところにまで降りてくるのは、どんなに早くても2010年以降となりそうだ。

(@IT 西村賢)

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