「包括的なリカバリ体制を、低価格で“後付け”可能」、日本CAリカバリ・マネジメント製品の最新版を発表

» 2009年05月11日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本CAは5月11日、リカバリ・マネジメント・ソリューション「CA ARCserve r12.5シリーズ」を発表した。バックアップ製品「CA ARCserve Backup」と、レプリケーション製品「CA ARCserve Replication」「CA ARCserve High Availability」の3製品からなるが、「今回のバージョンから各製品を連携可能としたことで、従来よりもストレージ管理者の負荷を抑えながら、よりハイレベルなデータ保護を狙えるようになった」という。

 CA ARCserve Backupは2008年5月に発売したCA ARCserve Backup r12の最新版となる。物理・仮想の両環境に対応し、企業のデータを一元的に管理・保護できるほか、統合アンチウイルス/暗号化ツールもサポート。「運用管理の手間・コストを抑えつつ、事業継続、コンプライアンス管理に、より確実に貢献できる」として積極的に拡販を行ってきたが、r12.5ではさらに機能を強化したという。

写真 昨年5月に発売したr12から、さらに機能を強化したCA ARCserve Backup

 その1つがデータ・デデュプリケーション機能だ。従来、ファイル内のデータに変更個所があると、ファイルごとバックアップを取っていたが、この機能によってファイル内の重複データを排除してからバックアップを取れるようになった。これにより、使用するディスク量を従来の約70%まで削減でき、ディスク容量、消費電力ともに、いっそうの効率化が期待できるという。

 仮想化環境への対応としては、Windows Server 2008 Hyper-V、VMware Consolidated Backup(VCB)にサポートを拡張した。r12ではファイルモードでバックアップした場合のみファイルのリストアが可能だったが、今回からRAWデータバックアップからファイルを直接リストアできるようにしたという。

 アクセスコントロール機能も強化した。従来は「caroot」でログインすると、あらゆる機能にアクセスできたが、これに「Backup Operator」「Device Operator」といった役割別による権限設定を追加。各権限でアクセスできる機能しかメニュー画面に表示しないなど、セキュリティにもいっそう配慮した。このほか、64ビットのOracleデータベースの保護も可能とし、CA ARCserve BackupのGUIから、RMANベースのOracle Backup Agentによるバックアップ、リカバリモードを実行できるようにするなど、さらに使い勝手を高めたという。

バックアップとレプリケーションを連携

 一方、CA ARCserve ReplicationとCA ARCserve High Availabilityは、万一の障害時に備えて、データをリアルタイムに複製する製品。このうち、CA ARCserve High Availabilityは、CA ARCserve Replicationの機能をベースにした上位製品であり、フェイルオーバー/フェイルバック機能も持ち、ネットワークの種類や地域に関係なく、アプリケーションの可用性を確保できる。

 両製品の特長は、同社独自の特許技術である「Rewind Technology」を標準搭載していること。通常のレプリケーション製品では、最新のレプリカデータか、時間単位によるリカバリしかできないが、CA製品の場合、アプリケーションやファイルに変更があるたびに“リワインドポイント”を記録。任意の時点にデータを巻き戻してリカバリすることができる。

写真 バックアップとレプリケーションの連携で、より確実で効率的なリカバリ体制を実現

 今回はこれらに加え、CA ARCserve Backupとの連携機能を装備。管理画面やヘルプのドキュメント類も含めて完全に日本語対応したインターフェイスで、バックアップとレプリケーションを組み合わせた運用を一元的に行えるようにしたという。また、CA ARCserve Backupと同様、Windows Server 2008 Hyper-Vに対応するほか、本番サーバを停止させることなくレプリカサーバを使った復旧訓練が行えるAssured Recovery機能を、有償でのオプション提供から標準装備に変更した。

写真 日本CAのパートナー営業本部 本部長の今野芳弘氏

 日本CAのパートナー営業本部 本部長の今野芳弘氏は、「昨今の不況により、企業にとって厳しい状況が続いている。しかし、コスト削減が求められている中でも、コンプライアンス順守やセキュリティ対策、障害復旧対策などに配慮しつつ、着実に利益を追求していかなければならない。その点、CA ARCserve r12.5シリーズは、バックアップ運用のさらなる効率化、確実化に大いに貢献する。導入も容易で、既存システムに手を加えず、“後付け”感覚で導入できる。バックアップとレプリケーションの連携という強みをアピールして、Windowsバックアップ市場でのさらなるシェア拡大を目指したい」と力説した。

 価格はCA ARCserve Backupが15万円、CA ARCserve Replicationが19万8000円、CA ARCserve High Availabilityが39万8000円から(すべて税別価格)。CA ARCserve Backupは6月10日、CA ARCserve ReplicationとCA ARCserve High Availabilityは7月1日から発売する。

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