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【Top10】まだまだ革新が続く検索サービス

2009/05/18

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングの第1位は「iPhone 3.0がアプリ開発者の頭痛の種に?」だった。iPhoneのメジャーバージョンアップを控えて、アプリケーション開発者は最新版OSへの対応もしくは動作確認を迫られる。安定したユーザー体験を提供するためにアップルは努力をしているが、プラットフォームのバージョンアップのたびに開発者に協力を仰ぐのでは、毎回混乱が起きそうだ。

NewsInsight Weekly Top 10
(2009年5月11日〜5月17日)
1位 iPhone 3.0がアプリ開発者の頭痛の種に?
2位 手のひらサイズのLinuxサーバ「OpenBlockS」に新モデル
3位 グーグル、大規模障害の原因はルーティングエラー
4位 SSDだとOracleは速い? サンの技術者がベンチ公表
5位 “自転車ストリートビュー”で寺院境内の撮影も
6位 MySQLがフォークか、オープンアライアンスが誕生
7位 ハードウェア進化によって20億レコードが1秒で検索できるように
8位 「撮影位置を40cm引き下げます」、グーグルストリートビュー
9位 RubyでHadoopをラップ、分散処理ツールキットが登場
10位 Linux.comがリニューアル、コミュニティポータルに

 個人的に気になっているのは、新しい検索エンジンの動向だ。1つは数式処理システム「Mathematica」の生みの親として知られる天才数学者、スティーブン・ウルフラムがリリースした斬新な検索エンジン「WolframAlpha」。もう1つはグーグルが一気にリリースした(あるいはリリースしつつある)一群の検索オプションだ。

 WolframAlphaは一般的な検索というよりは、各種専門家向けの「高機能計算機+データセット」といった印象だ。Mathematica由来と思われる数式処理機能はインターネット上では明らかに最強だ。検索窓といっていいか分からないが、テキストボックスに数式を入れてテイラー展開をしてくれるようなサービスを、記者はほかに知らない。インタラクティビティに欠けるきらいがあるものの、複雑な数式を処理し、グラフや多面体も描いてしまうのは驚きだ。理化学事典的な数値(物質の融点や密度)や化学式は豊富に出てくるし、単位変換も自在。音のドップラー効果なら移動速度と周波数を入れれば、周波数の偏位も答えてくれるなど、簡単な法則なら計算もしてくれる。「ワイン2杯とチーズ」などとやるとカロリーや栄養素が出てくるし、日本人40歳の平均余命と入力して他国の国民とグラフで比較するのも簡単だ。過去の気象データや各国のGDP、大手企業業績といった統計データが入っているようで、そうしたデータに対して自然言語的な指示で比較グラフを描かせることができるのは楽しい。

 身長と体重からBMIを計算したり、東京とサンフランシスコの距離をゴールデンゲートブリッジの長さで割ってみたりといった日常的(?)な計算もできるにはできるが、WolframAlphaは、今のところ理系研究者に歓迎されるサービスという印象だ。ウルフラム自身によるデモンストレーション映像には「ヨーロッパの国を大きい順に5つ」と入力すると、「大きい」ということを自動的に解釈して人口、国土、GDPなどで整理されたランキング表として提示するという例があったりもしたが、どうもデータセットや機能は理系寄り。まだまだ始まったばかりのサービスでこれからだと言うことなので、今後のデータセットの充実に期待したいところだ。インターネットの検索がそうであったように、「これは入れれば出てくるだろう」という利用者の期待を裏切らないようなレベルになれば素晴らしい。

 一方、グーグルが新たに開始した検索オプションの数々は、どれも興味深いが、中でも検索結果を時系列で扱えるようになったことは非常にメリットが大きいと感じている。最新のページを頭に持ってきたり、1998年のページ、1998年12月のページといった風にドリルダウンしていくことで(このドリルダウンのUIは英語版でのみ表示されるようだ)、調べ物ではかなりの威力を発揮する。

 WolframAlphaもグーグル検索の新オプションも、まだ荒削りだったり、どこまで実用性があるか分からない面もあるが、インターネットで最も多く利用される検索というアプリケーションで、まだこれほど多くのイノベーションが起こっているということに素直に驚きを感じる。

(@IT 西村賢)

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