マイクロソフトが目指す「One Platform, Many Applications」Dynamics CRMの「XRM」戦略

» 2009年06月01日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 マイクロソフトは同社のCRMアプリケーション「Microsoft Dynamics CRM」で、「XRM」と呼ぶ新しい戦略を進めている。一言で言えばDynamics CRMをカスタマイズした新しいアプリケーションをパートナー主導で開発、販売する戦略。国内でもXRMアプリケーションが登場し始めている。

 同社によればXRMは「One Platform, Many Applications」を実現するという。CRMはCustomer Relationship Managementだが、XRMの「X」にはそのアプリケーションの管理対象が入る。海外の事例では災害管理、住民情報管理、農地管理などのアプリケーションが開発されている。

 技術的にはDynamics CRMのカスタマイズだ。拡張データモデルや拡張画面、ワークフロー、レポーティング機能などを追加する。.NETによる開発で、Dynamics CRMと同様にWebベースの利用が可能。データ連携のモデルやユーザーインターフェイスもDynamics CRMから流用できるなど通常のスクラッチ開発と比べて開発生産性が高い。

マイクロソフトのDynamics事業統括本部 マーケティング部 エグゼクティブ プロダクト マネージャーの齋藤誉氏

 サーバ型のほかに、ホスティング型での利用もできる。マイクロソフトのDynamics事業統括本部 マーケティング部 エグゼクティブ プロダクト マネージャーの齋藤誉氏は「1つのサーバ、データベース上で複数のXRMアプリケーションが構築できる」と話す。

 住友セメントシステム開発はビルメンテナンスのアプリケーションをXRMに基づいて開発した。6月1日に販売開始する。「BM@FM for Dynamics」と名付けたアプリケーションで、SaaS型で提供する。ビルメンテナンスに関する受付管理機能や年次予定を管理する機能がある。鹿島建物総合管理がすでに利用開始している。

 また、グレープシティも文教市場向けのXRMアプリケーションを2008年9月から提供している。大学や専門学校向けのアプリケーションで、学校への進学希望者、受験者、学生、卒業生などの情報を管理し、学校側から適切なコミュニケーションを取れるようにする。

 マイクロソフトのDynamics事業統括本部 本部長代理 中西智行氏によると、Dynamics CRMの事業は「対前年で2.5倍と非常に順調」。国内での導入企業も100社あまりとなった。XRM戦略を推進することでCRM以外のアプリケーション事業に進出し、来年度以降も2倍以上の成長を狙う。齋藤氏は「年間100社程度の顧客を獲得したい。向こう3年は倍、倍、倍(の成長)で行ける」と話した。

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