アプリケーション最適化アプライアンスのラインアップを強化

シトリックス、Xen用仮想アプライアンスを発表

2009/06/08

 シトリックス・システムズ・ジャパンは6月8日、アプリケーション配信を高速化するアプライアンス「NetScaler」の機能を仮想環境上で実現する「Citrix NetScaler VPX」を発表した。

 NetScalerは、TCPセッションの最適化やキャッシュ、圧縮といった技術を用いてアプリケーション配信を高速化するほか、負荷分散、SSL-VPN接続のターミネーションといった機能をデータセンターや企業のサーバファーム向けに提供するハードウェアアプライアンス製品。2008年には、マルチコア環境に最適化した技術「nCore」の実装によって性能や拡張性を高めた「NetScaler MPXシリーズ」をリリースしている。

 この日発表されたNetScaler VPXは、同社の仮想化環境「Xen Hypervisor」上で、MPXとほぼ同等のWebアプリケーション配信/負荷分散機能を提供する仮想アプライアンスだ。「レイヤ1、レイヤ2の低いところの機能についてはXenに依存することになるが、それ以外の部分、アプリケーションデリバリーについては同じ機能、同じ効果を提供する」(同社ビジネスディベロップメント シニアマネージャーの村上慎一氏)。

citrix01.jpg シトリックス・システムズ・ジャパン ビジネスディベロップメント シニアマネージャー 村上慎一氏

 NetScaler VPXは、Xen Server用の仮想アプライアンスイメージの形で提供される。Xenが動作する環境であれば機種を問わず動作するため、専用ハードウェアを導入する必要はなく、同一サーバでほかのアプリケーションと同時に動作させることも可能だ。このため、データセンター事業者などが、ニーズに合わせてオンデマンドでアプリケーション最適化機能を提供できる点がメリットとなる。また、中堅・中小企業での導入を支援するため、セットアップウィザードやアプリケーションごとの推奨設定テンプレートなども提供する。ただし、Microsoft Hyper-VやVMware ESX Serverには対応しない。

citrix02.jpg 中堅・中小企業向けの新製品「NetScaler MPX 7500」

 シトリックスでは、既存のハードウェアアプライアンスは、データセンター全体への適用が必要なSSL暗号化処理のオフロードやDoS攻撃からの防御に向いていて、仮想アプライアンスはアプリケーションごとの負荷分散や圧縮といった個別の最適化に特に向いているとし、両者を組み合わせることによって、SaaSやクラウド型サービスの展開を支援できると説明した。

 なおシトリックスは同時に、マルチコアプロセッサの性能をフルに生かすアーキテクチャ、nCoreを実装したハードウェアアプライアンスの新製品「NetScaler MPX 5500」「同7500」「同9500」も発表している。中小規模企業からエントリレベルの大企業をターゲットにしており、既存のハイエンド製品「NetScaler MPX 15000/17000」の機能を、コストパフォーマンスに優れた形で提供することが特徴だ。

 NetScaler VPNの価格は未定で、2009年第3四半期に提供開始の予定だが、6月8日より、同社Webサイトでテックプレビュー版のダウンロードが可能だ。また、NetScaler MPX 5500のレイヤ7のスループットは最大500Mbpsで、価格は198万円から、同7500は最大1Gbpsに対応しており、価格は363万円からで、同日より出荷を開始している。NetScaler MPX 9500は最大3Gbpsのスループットとなるが、価格は未定。第3四半期に受注を開始する予定だ。

(@IT 高橋睦美)

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