信頼性やセキュリティで差別化
日立がクラウドサービス発表、ユーザー企業にとっての“正解”目指す
2009/07/01
日立製作所は6月30日、仮想マシンの運用を代行するクラウドサービスを7月31日に提供開始すると発表した。
新サービスの名称は「ビジネスPaaSソリューション」。名称には“PaaS”という言葉が使われているが、これはAPIやアプリケーションのカスタマイズを提供するサービスではない。Amazon EC2のような“IaaS”、つまりユーザー企業の仮想マシンを日立のデータセンターで運用するサービスだ。
日立 執行役常務 情報・通信グループ プラットフォーム部門CEO 北野昌宏氏日立 執行役常務 情報・通信グループ プラットフォーム部門CEO 北野昌宏氏は、Amazon EC2などのクラウドサービスが、企業ITシステムに対してコスト圧縮、導入スピード、柔軟性といった大きなメリットをもたらすことを認める。日立のサービスプラットフォームのコンセプトである「Harmonious Computing」も、クラウドで大きく進化できるという。その一方で、クラウドの本格的な利用が進むためには、信頼性、セキュリティ、性能に関する懸念を払拭する必要があるという認識だ。究極的には、クラウドサービスも「電力、交通、金融システムと同等の信頼性を確保できなければならない」(北野氏)。これが日立の目指す方向性であり、現在一般に取り上げられているクラウドサービスと同社のサービスの違いだとする。
7月31日に開始するビジネスPaaSソリューションは、日立独自の仮想化技術「Virtage」(バタージュ)や、シン・プロビジョニングをはじめとする同社ストレージの機能を活用し、現在建設中の横浜データセンターを使って提供するサービス。Virtageはハードウェアのパーティショニングに近い技術であり、一般的なハイパーバイザよりも性能やアプリケーションの動作保証性に優れているというのが同社の主張だ。
基本的な仮想マシン運用サービスである「プラットフォームリソース提供サービス」(月額8万9000円から)に、信頼性やセキュリティ、性能の確保を目指したオプションを組み合わせる形で提供する。
オプションには例えば、「リソースキャパシティ保証サービス」がある。Virtageの特徴である固定割り当て機能を活用し、物理CPU、物理メモリ、ストレージの論理ユニット、I/Oを特定仮想マシンが占有することで、性能を確保する。「可用性強化サービス」は仮想ディスクのバックアップ/リストアやサーバのクラスタ化を行うサービス。そして「ソフトウェアスタック提供サービス」はミドルウェアを部品として提供するサービスだ。「クラウド導入コンサルテーション」「クラウド導入支援サービス」も提供する。
Amazon EC2は、明確な価格体系、高いセルフサービス性といった特徴を持ち、クレジットカード1枚あればユーザー自身がWebブラウザ経由で仮想マシンを即座に作成できる。日立のビジネスPaaSソリューションでは、プラットフォームリソース提供サービスの最低価格こそ公表しているものの、細かな価格体系は明らかになっていない。オプションサービスの価格はすべて個別見積だ。また、仮想マシンはユーザー自身が作成するのではなく、ユーザーの要望に基づいて日立が作成し、運用する。
しかし、Amazon EC2が物理リソースを完全に抽象化し、利用者側はどこでどのように自分の仮想マシンが動いているかをまったく意識しない(あるいは分からない)という意味でまさに“クラウド”サービスなのに対し、“クラウド的”であればあるほど生じる性能やセキュリティに関する制御性の低下を補完するため、“パターンメイド”的な手法を取り入れているところに特徴があるとも表現できる。
ビジネスPaaSソリューションは今後も図のように進化していくという。10月にはSaaS事業者に対するインフラ提供サービスや、仮想マシン運用代行サービスのノウハウを提供するサービスも開始する。
日立は上記のビジネスPaaSソリューションに、企業の社内インフラの“クラウド化”を支援する「プライベートクラウドソリューション」、すでに提供中の企業間情報共有サービス「TWX-21」を含む「ビジネスSaaSソリューション」を合わせ、「Harmonious Cloud」として同社のクラウド関連ソリューションを体系化した。
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