SAPが環境維持への取り組み方針を発表
“環境維持は儲からない”というのは勘違い
2009/07/15
SAPジャパンは7月15日、報道関係者向けの説明会を開催し、同社の「環境維持への取り組み(Sustainability)」に関する方針を説明した。同社は今年に入ってCO2排出量管理技術ベンダの米Clear Standardsを買収したり、Chief Sustainability Officerのポジションを新設するなど、環境への取り組みを強化している。
SAPジャパン チーフオペレーティング&コマーシャルオフィサー ロブ・シリング氏SAPジャパン チーフオペレーティング&コマーシャルオフィサー ロブ・シリング(Rob Schilling)氏は、「最近発売された『Fortune 500』では、50ページにわたってグリーンITなどの環境ビジネスを特集している。特にその中で今後10年間環境問題を牽引するのは、トヨタのハイブリッドカーや川崎重工のエコ電車だと述べられている。このように環境ビジネスで日本はかなり重要なポジションにいる」と説明。ただし、今後企業が継続的に環境ビジネスやグリーンITへ投資するためには“儲かること”が非常に重要だとした。
「良い例がトヨタのハイブリッドカーだ。プリウスよりも単純に安い車はあるが、ユーザーはエコカーというブランドや燃費の良さに付加価値を認めてお金を出している。このようにいくら環境に配慮してても、儲からなければ企業活動としては続かない」(シリング氏)と解説した。
SAPの「環境維持への取り組み」は、「サステナビリティパフォーマンス管理」「エネルギー・二酸化炭素管理」「製品安全と製品責任」「サステナブルサプライチェーン」「環境・安全・衛生」「サステナブル人材」「ITインフラストラクチャ」の7分類で実施する。SAPジャパン バイスプレジデント インダストリー/ソリューション戦略本部 本部長 脇阪順雄氏は、「環境維持への取り組みは利益が出ないというのは大きな勘違いだ。いま多くの企業では、『環境維持の取り組みは儲からない→原資が出ない』という構図になっているが、きちんと管理すれば利益が出るということをまずは認識してもらいたい」と語り、この取り組みの目標を説明した。
サステナビリティパフォーマンス管理は、年末までにリリースを予定している新製品「Sustainability Performance Management」で実現するもの。まずは、現在の環境維持の取り組み状況を分析して戦略を策定、その後KPIを設定、ダッシュボードによるモニタリングを提供する。エネルギー・二酸化炭素管理では、排出量のトラッキングと算出や排出量の予測機能を提供するほか、各国の法規制へ対応するための閾値トラッキング機能などを提供する。また、SAPが買収したClear StandardsのSaaS型CO2管理ソリューションも提供予定だ。
Clear StandardsのSaaS型CO2管理ソリューションの画面イメージ。早急に日本語版の提供も開始予定だ脇阪氏は、「社内のCO2排出量などであればSAP製品で管理できるが、社外のパートナー企業などとデータ共有したい場合には、SaaS形式が有効だ。そのため、買収時にはSaaS形式でCO2管理機能を提供する企業を探し、あえてそこを買収した。Clear StandardsのSaaSとSAP製品が連携することで、社内外の環境維持データを連携できるようになる」と説明した。
製品安全と製品責任では、有害物質管理やフットプリントを最小化する設計、製品リコールのトラッキング機能などを提供。これらの機能は、主に「SAP Environment,Health&Safety」(EHS Management)で提供する。環境・安全・衛生では、職場における事故管理や、従業員の健康管理、標準作業手順の開発機能などを提供する。「住友化学は、EHS Managementをいち早く導入し、全世界で環境に関するデータベースを統一。そのデータベースを基にしてさまざまな法規制や環境問題へ対応している」(脇阪氏)と事例を紹介した。
SAPでは、シリング氏をオーナーとして今後「環境維持への取り組み」を強化。直近では、「温暖化ガス排出規制・エネルギー管理対応」「化学物質管理規制対応(製品安全・製品責任)」「スマートグリッド」「サステナビリティ・パフォーマンス管理」など4分野に注力するとした。
シリング氏は、「SAPが2008年に排出したCO2は52万トン。これを2020年までの約10年間に、2000年レベルの排出量25万トンにまで減らすと目標設定している。SAPでは自社製品を利用しているので、ユーザーを牽引する意味でも目標を達成し、“SAP製品を利用すればCO2削減に有効だ”とアピールしたい。しかし、そのためには製品を導入するだけでなく、全従業員が環境を意識して行動することが必要だ」と語った。
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