チャネルパートナーを幅広く募り事業展開

丸紅、月額6500円からの仮想デスクトップサービス

2009/07/21

 丸紅は7月15日、仮想デスクトップサービス(DaaS)の「VirtuaTop(バーチャトップ)」を提供開始した。システムインテグレータなどのパートナーを経由して販売する。運用はグループ企業の丸紅情報システムズが担当する。

 幅広くチャネルパートナーを募集してVirtuaTopを展開する理由について、丸紅 金融・物流・情報部門 ITソリューションビジネス部 ソリューションビジネス開発チーム長の大橋一登氏は、「仮想デスクトップはそれ自体よりも、周囲のシステムとの連係やネットワーク構成、クライアント環境の管理手法などがユーザー企業ごとに異なることが難しい。われわれよりもこうした企業が付き合いのあるシステムインテグレータなどが対応したほうがいい」と説明する。官公庁や文教関係、中堅企業、コールセンターなど、特定分野に強い販売会社にVirtuaTopをツールとして使ってもらい、丸紅としては仮想デスクトップ環境の提供に集中することで、規模の利益を狙いたいという。

 VirtuaTopのメインターゲットは中堅企業。価格は、一部国内で提供されているDaaS的サービスよりも大幅に低く抑えた。基本サービスは各仮想デスクトップへのCPUリソースとRAMの割り当ての量により、3つのグレードに分かれているが、最低グレードは仮想デスクトップ1つ当たり月額6500円から(OSライセンス料、端末価格は含まれない)。低価格を実現するために、バックアップはオプションになっている。

marubeni01.jpg ユーザー企業の事業所に対してはVPN経由でサービスを提供する

 デスクトップ接続プロトコルはRDPであるため、一般的なシンクライアント端末や既存PCを活用できる。丸紅は通信回線の事業も行っているが、今回のサービスはフリーキャリアで提供する。

 ライセンス料は同時に稼働する仮想マシンの数に基づく(ユーザーに仮想デスクトップを割り当てる場合はユーザー当たり1デスクトップと数える)。従って、定型業務などで、同一の仮想マシンを複数のユーザーが使いまわすような場合は、ユーザー数よりも仮想デスクトップの数を少なくすることができる。

 また、仮想デスクトップの契約数は3カ月単位で変更が可能。デスクトップ需要の季節変動が大きい大学などの教育機関では、費用を節約できるメリットがあると大橋氏は話す。

 丸紅がVirtuaTopの延長線上で提供を検討しているサービスには、例えばサーバのコロケーションがある。仮想デスクトップを稼働させるデータセンターにファイルサーバなどを設置すれば、利用環境の向上が期待できる。「サーバの構築は販社にやってもらい、当社は場所貸しをすることを考えたい」(大橋氏)。ほかにもActive Directoryや電子メールのホスティングなどのニーズに応えるサービスを提供したいという。

 また、「仮想デスクトップを販路にしてソフトウェアの新しい販売チャネルをつくっていきたい」と大橋氏は話している。マイクロソフトのOfficeをはじめとするアプリケーションについては、Service Provider License Agreement(SPLA)に基づく月額課金のライセンス提供ができるようになっている。ほかのベンダとも、ウイルス対策ソフトなど、月額課金に基づくソフトウェア・ライセンス提供を進めていくという。また、特定分野に特化した販社が、自社のこれまで提供してきたアプリケーションに修正を加えることなく、月額課金で提供することにより、付加的なビジネスを展開できるだろうという。なお、Windows VistaなどのデスクトップOSについては、マイクロソフトがSPLAの対象に含めていないため、丸紅以外のDaaS業者を使う場合でも、顧客がライセンスを購入する必要がある。

 VirtuaTopでは、米Desktoneの仮想デスクトップサービス管理ソフトを用いている。同ソフトは基本的にはコネクションブローカーと、その背後のリソース管理部分で構成されている。管理は従来企業単位で行うようになっていたが、新バージョンでは事業者が複数の顧客の環境を、単一のインターフェイス経由で行える。このことによって事業者としての運用コストを大幅に下げられることが、同ソフト採用の理由だという。

 同ソフトでは、各ユーザー企業からのアクセストラフィックを仮想ルーティングによって分離できる。また、単一の顧客に対して、複数のデータセンターから一括管理の下でサービスを提供することも可能。丸紅はデータセンターを関東圏にしか持たないが、将来はほかの企業と提携して、関西圏でデータセンターを運営することも考えられるという。また、Desktoneのシステムでは、回線障害対策などのために、インフラの一部をユーザー企業側に設置することもできる。

 同サービスは、仮想化インフラにはVMware ESXを用いているが、VMware Viewは使用しない。

(@IT 三木泉)

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