仮想マシン配置の最適化を支援する機能を搭載

シトリックス、XenServerの管理ツールを強化

2009/07/24

 シトリックス・システムズ・ジャパンは7月24日、サーバ仮想化環境管理ツール「Citrix Essentials for XenServer 5.5」を提供開始したと発表した。シトリックスは無償仮想化ソフトウェアの新バージョン「Citrix XenServer 5.5」を6月下旬に発表したが、今回は有償の管理ツールであるEssentialsをバージョンアップした。

 新バージョンには、ワークロードバランス機能、ストレージ統合機能の拡張、そしてラボ環境構築自動化機能が新たに加わった。

 ワークロードバランス機能とは、仮想環境での仮想マシンの最適な物理サーバへの配置を教えてくれる機能。仮想マシン起動時、物理サーバのメンテナンス時、そして最高のパフォーマンスを確保するために各仮想マシンをどの物理サーバで動作すべきかを示すことができる。この機能自体が自動的な再配置を行うわけではなく、実際の再配置はXenMotionを用いて管理者が行うことになる。

citrix01.jpg ワークロードバランス設定はウィザード形式で実行できる
citrix02.jpg 再配置のためのしきい値を細かく設定できる

 ストレージ統合の拡張とは、スナップショットや重複除外など、ストレージ製品が備える機能をサーバ仮想化環境側から利用して設定できるようにする機能を拡充したもの。これまで小数の製品については、直接これらの製品の機能を生かすための統合が行われていたが、今回はシトリックスが「StorageLink」と呼ぶ汎用的な統合の仕組みを提供。SMI-S(Storage Management Initiative-Specification)に対応したストレージは、ほとんどカスタマイズせずに統合が可能になった。同社は検証済みストレージとして、ドットヒル、EMCのCLARiX、ヒューレット・パッカードのEVA、P4000、MSA、ネットアップのFAS、Vシリーズなどを互換性リストに掲載している。

 ラボ管理機能については、従来もEssentialsに搭載されていたが、これを拡張した。開発、テスト・評価、本番環境投入といったプロセスでの仮想マシンの構築、利用、廃棄を自動化することができる。複数のハイパーバイザに対応しており、あるハイパーバイザ上で開発・テストを行ったアプリケーションを、別のハイパーバイザ上で診断し、本番環境に移行することができるという。

 Essentials for XenServerは、Enterprise、Platinumの2つのエディションで提供される。それぞれの機能は下の表のようになっている。Enterprise Editionの価格は管理対象の物理サーバ1台当たり46万7500円。ラボ管理機能を含むPlatinum Editionは、同機能の日本語化作業が終了してからの出荷を予定しており、出荷時期と価格は未定。

citrix03.jpg Enterprise EditionとPlatinum Editionの違いはラボ管理/ステージ管理、そして物理サーバへのプロビジョニング機能にある

 Essentials for XenServerには、上記の新機能のほかにも、従来からの機能として、再起動型の高可用性機能(HA)、動的なプロビジョニング機能、ワークフロー作成機能などがある。動的なプロビジョニング機能はXenServer、Hyper-Vに対し、テンプレートとして保持しているイメージファイルからその場で仮想マシンを作り出して投入することができる。Platinum Editionではさらに、物理サーバへのマシンイメージの投入も可能になっている。

(@IT 三木泉)

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