Red Hat Enterprise MRG Realtimeを活用

リアルタイムの金融システムをLinuxで、レッドハットと日本HPが協業

2009/07/31

 レッドハットと日本ヒューレット・パッカード(HP)は7月30日、ディーリングやトレーディングといった業務を担う金融システムのLinux移行を支援するプログラム「ReaLISM(Realtime Linux Infrastructure for Server Migration)を提供することを発表した。

redhat01.jpg レッドハット マーケティング本部部長 中井雅也氏(左)と日本HP ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト&HPCマーケティング部担当部長 赤井誠氏

 ReaLISMがターゲットとするのは、遅延の許されないリアルタイムの金融システム。東京証券取引所における新システム稼働などを背景に、「金融業界では、リアルタイムのハイスピードな処理が求められている。こうした処理を実現するため、Linux導入を支援していく」(レッドハット マーケティング本部部長 中井雅也氏)。

 協業の軸となるのは、レッドハットがハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野向けに提供してきた「Red Hat Enterprise MRG Realtime」だ。Red Hat Enterprise MRG Realtimeの「MRG」は、Messaging、Realtime、Gridの頭文字を取ったもので、応答時間の予測性を高め、ローレイテンシ(低遅延)の処理を実現することが特徴だ。標準のLinuxでは応答時間に大きなばらつきが生じるが、Red Hat Enterprise MRG Realtimeではそれを一定の範囲内に抑え、SLAに適合したサービスを提供できるようにする。

 これは、割り込みタイマーの正確性を高め、優先度ハンドリングをきめ細かく行えるようにするなど、カーネルに手を加えることで実現された機能だ。ただ、それ以外の部分は、プログラムインターフェイスも含めRed Hat Enterprise Linux 5との互換性を確保しており、基本的に同じアプリケーションが動作するという。

 両社はRed Hat Enterprise MRG Realtimeに、日本HPのx86サーバ「HP ProLiant サーバ Generation 6」を組み合わせ、システム設計やアプリケーションのポーティング/チューニング支援といったサービスとともに提供していく。HP ProLiant サーバ G6はXeon プロセッサ 5500番台やInfinibandを搭載したサーバで、BIOSにも、レイテンシを抑えるためのオプションを加えるなど、リアルタイム処理に適した性能を提供するという。

 また、日本HPが2005年9月に設立した「HP金融グリッドセンター」内に、「金融機関向けLinuxリアルタイムシステム構築支援オフィス」を設立し、共同で営業・構築支援サービスを展開。アプリケーションの検証・ポーティング支援といったサービスを提供していく。すでに、金融向けに特化したアプリケーションベンダから、検証を行いたいという声があるという。

(@IT 高橋睦美)

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