「中小企業のサーバ利用率を4倍に」

Windows Server 2008 R2の「2・3・4戦略」とは

2009/08/10

 マイクロソフトは8月6日、Windows Server 2008 R2の販売戦略について明らかにした。発売日および価格の発表の場で説明した。

 マイクロソフトはWindows Server 2008 R2を「2・3・4戦略」で国内展開していくという。

microsoft01.jpg マイクロソフト サーバープラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長 五十嵐光喜氏

 まず、「2」はサーバ仮想化市場を2013年にかけて200%増にすること。Windows Server 2008 R2は、ライブマイグレーションなどにより機能強化されたサーバ仮想化技術「Hyper-V R2」を搭載。これにより、x86サーバ出荷のうち仮想化対象となるサーバを、2010年の10万台から、2013年には30万台以上に加速化させるという。図に見られるように、2013年には出荷されるサーバの半数が仮想化される状況を目指す。

microsoft02.jpg サーバ仮想化市場を2013年にかけて200%増に

 OSに入っている機能を使うだけで、簡単に仮想化できることを訴えるとともに、Hyper-Vエンジニアを全国で1万人に増やしていくという。

 次に「3」とは、Windows Server 2008 R2におけるData Center Editionの販売の対前年成長率を、2010年度(マイクロソフトの会計年度)に300%とすること。Data Center Editionは、256 CPUをサポートできることや、無制限の数の仮想サーバをOS上で動かせるという特徴がある。マイクロソフト サーバープラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏は、Data Center EditionのみがCPU単位のライセンスであることをメリットとして強調した。

microsoft03.jpg Data Center Editionの対前年成長率を2010年度には300%に

 「例えば100台のサーバを統合するときに、それが25台なのか、30台なのか、10台なのかの設計は難しい。ただでさえシステム設計で頭を悩ませなければならないのに、(Windows Serverの)購入本数まで頭を悩ませるのは大変。Data Center EditionはCPU別のライセンスなので、100 CPU分を購入いただければ、30台で使おうが、25台で使おうが、お客様の選択次第になる」。

 柔軟なライセンス体系でユーザー企業の頭痛の種を減らせるという。仮想化ライセンスが無制限という点も、設計を容易にするポイントだと五十嵐氏は話した。

 Data Center Editionは現在、テスト・開発環境および本番環境のステージングでサーバ利用されるケースが多いという。同エディションではオンデマンドで仮想化環境を構築し、利用したい期間のみ利用することが簡単にできるとしている。

 Data Center Editionは当初、ハードウェアとサポートが一体化した「Data Ceneterプログラム」でのみ購入が可能だったが、マイクロソフトはこれを2007年に変更、一般ユーザーが通常のライセンスとして買えるようになった。

 そして「4」は、中小企業向けサーバOS出荷量を4倍にすること。マイクロソフトの調べによると、米国や欧州で中小企業への出荷が全体の20%を超えているのに対し、日本では5%に留まっている。「日本は中小企業に出荷されるサーバ数がきわめて少ない。日本では従業員20人未満の企業が130万社。このうちPCを使っているのは95%だが、サーバを使っている企業は2%ない。このサーバの利用率を4倍にし、欧米と同じレベルにもっていきたい。出荷されているサーバにWindows Serverを使ってもらうというより、サーバの市場自体を大きくしていきたい」(五十嵐氏)。2009年における中小企業へのサーバ出荷を3万台とするなら、3年後をめどに、9万台を上積みして12万台の市場にしたいという。

microsoft04.jpg 中小企業におけるサーバ利用率を4倍に

 このためにマイクロソフトが力を入れるのが「Windows Server Foundation」。これは同社が4月に、2010年6月までの期間限定で提供すると発表した製品。サーバベンダからのプレインストールモデルおよびバンドルモデルでの提供のみが行われている。最大15ユーザーまでだが、クライアントアクセスライセンス(CAL)が不要というメリットがある。Hyper-Vは付属しない。同社はこれを定番化し、サーバベンダとの連携で中小企業を本格的に攻略するという。Foudationでサーバを使い始めたユーザー企業は、その後Standard Editionに移行してくれるはずという読みも同社にはある。

 サーバベンダを代表して話した富士通IAサーバ事業本部 本部長 河部本章氏は、世界におけるx86サーバ市場シェア10%以上の最終的な獲得を目指し、2010年にPRIMAGYを世界で50万台、国内で20万台販売する同社の目標を改めて説明。このためにWindows Server 2008 R2で、既存のWindows Server市場を上下左右に伸ばしていきたいと抱負を語った。

 既存市場にはリプレースを働きかけ、一方でHyper-Vなどによるデータセンター集約の新市場を開拓。大規模システムへの適用拡大を図るとともに、Windows Server Foundationを活用して、ローエンド市場を大きく広げたいという。

microsoft05.jpg 富士通はWindows Server 2008 R2でサーバ市場を上下左右に広げる

 製品面では、富士通はすでにWindows Server 2008 Foundation付きの「PRIMERGY TX100 S1」を7万9800円で販売しているが、R2でもこのレベルの価格でキャンペーンを展開していく。また、サーバ管理ツール「Systemwalker Resource Coordinator」で「System Center」との連携を秋に実現する。さらに「SharePoint Server」の機能を組み込んだ富士通のグループウェア「Teamware Collaboration Suite」を8月31日に出荷開始する。サポートに関しては、今後3年間でマイクロソフト認定技術者を2000人増員し、2倍にするという。

(@IT 三木泉)

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