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新しいプロジェクト計画表公表

ASBJ、東京合意のコンバージェンス作業を前倒し

2009/09/03

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 企業会計基準委員会(ASBJ)は9月2日、日本の会計基準とIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)との差異をなくすコンバージェンス作業に関し、最新の「プロジェクト計画表」を公開した。従来、2011年6月末までを目標としていた「中期プロジェクト」を2010年中に終了させる考えで、IFRSのアドプションを控え、計画を前倒しした。

 ASBJは2007年にIASB(国際会計基準審議会)といわゆる「東京合意」を締結し、日本の会計基準とIFRSとの差異を埋めるコンバージェンス作業を進めている。作業は「EUによる同等性評価に関連する短期プロジェクト項目」と、日本基準とIFRSとの「既存の差異に関連するプロジェクト中期項目」、IFRSと米国会計基準とのコンバージェンスを進める「MoUに関連する中長期プロジェクト項目」の3つで構成する。

 「棚卸資産(後入先出法)」などの短期プロジェクトは2008年末で終了した。今回発表したプロジェクト計画表では、中期プロジェクトを従来の2011年6月末から前倒しし、2010年中に最終的な基準を公表する計画を示した。ASBJでは「(金融庁が6月末に公表した)中間報告において会計基準のコンバージェンスの継続・加速化が提言されていることを踏まえた」としている。

 具体的には、中期プロジェクトのうち、日本基準とIFRSとの間で違いが大きいとされている、のれんの償却などを含む「企業結合」は2010年10〜12月の基準設定を目指している。IFRSでは企業買収時に、のれん償却を行わず、その代わりに毎年、のれんの減損テストを行って価値を評価する。また、包括利益などを含む「財務諸表の表示」については2010年1〜3月に決定する見込みだ。「無形資産」についても2010年中に最終決定する計画だ。

 中長期プロジェクトについては「退職給付」のステップ1が2011年にも基準が設定され、その後適用される見込み。ステップ1は「退職給付債務及び勤務費用の期間帰属や未認識項目のオンバランス化、開示の拡充などを想定している」という。

 MoUでも問題となっている「財務諸表の表示」と「収益認識」はASBJにとっても「重いプロジェクト」。2011年中の公開草案公表を目指しているが、IASBとFASBの動向を見ながらディスカッションペーパー(論点整理のための文書)を2回出すなど慎重に進める考えだ。

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(IFRSフォーラム 垣内郁栄)

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