新ライセンスパッケージを発表
Hyper-Vで“管理ツールが無償”、マイクロソフトの戦略
2009/09/10
マイクロソフトは9月8日、Windows Server 2008 R2に搭載する仮想化機能Hyper-V 2.0に関して、新たな販売支援戦略を発表した。その1つは新たなライセンスパッケージだ。
「Enrollment for Core Infrastructure」(ECI)と呼ばれるこのパッケージはWindows Server 2008 R2 Datacenter EditionにSystem Center Server Management Suite、Forefront for Client Securityを組み合わせたもの。
マイクロソフト サーバープラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏は、Windows Server 2008 R2のライセンス体系を発表した際に、Datacenter EditionはCPUベースのライセンスであり(さらにゲストとして使うWindows Server 2008 R2は無制限)、仮想化を使ったサーバの統合度にかかわらず、効率的なライセンス支払いができると説明していたが、ECIでもこれを踏襲しているため、ユーザー企業は面倒なことを考えずにサーバ仮想化プロジェクトを進められると話した。
Select Cライセンスで、この3製品を個別に40 CPU分購入する場合の料金合計は約4200万円だが、ECIで購入すると約3100万円になるという。興味深いのはマイクロソフトが示した図だ。これを見ると、通常のWindows Serverライセンスの合計とほとんど変わらない料金で、管理ツールも手にすることができることになる。これは、「Windows Server 2008 R2では仮想化機能は無償だが、管理ツールに金が掛かる」といわれないようにするための対策だと解釈できる。つまり事実上追加コストはほとんどなしで、物理環境の代わりに仮想化環境を導入できるというわけだ。なお、このパッケージは40 CPU以上でしか購入できない。
マイクロソフトはほかに、次の施策を発表した。
- 仮想化技術のすそ野を広げるため、MCA、MTCSの下に「Hyper-V導入コーディネータ」という認定資格を新設。1万人の取得者を目指す
- アセスメントツール「Microsoft Assessment and Planning (MAP) Toolkit」でのWindows Server 2008 R2とHyper-V 2.0への対応、および仮想化インフラサービス事業者向けの仮想化環境提供ツール「Dynamic Datacenter Toolkit」の無償提供
- 仮想化ソリューションパートナーを対象とした仮想化コンピテンシー認定の新設。1年間で100社がこの認定を取得することを目指す
一方、NECは今回のマイクロソフトの発表に合わせ、Hyper-V 2.0をマイクロソフトと共同で推進していく計画を発表した。
注目されるのは、NECがヴイエムウェアのハイパーバイザをベースとした独自の仕組みとして提供してきたデスクトップ仮想化製品「VirtualPCCenter」のHyper-V 2.0対応。Hyper-V2.0に対応したVirtualPCCenterは、12月末の出荷を予定しているという。
また、WebSAM SigmaSystemCenterでは12月末にHyper-V 2.0に対応。同社の管理コンソールからHyper-Vを直接制御する機能を強化する。
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