docx、pptx、xslxに最適化

マイクロソフトのWeb版Office、旧バージョンのOfficeに一部制約

2009/11/02

 米マイクロソフトでは、開発中の「Office Web Apps」を.docx、.pptx、.xslxの各ファイル形式に最適化しようとしている。ユーザーのデスクトップからアップロードしたドキュメントのオンラインアクセス性を高めるためだ。しかしそのせいで、旧バージョンのOfficeを使っているユーザーは、不都合を強いられることになりそうだ。米eWEEKでWeb Appsのテクニカルプレビュー版をテストしたところ、ファイル拡張子が.xlsおよび.pptのドキュメントはブラウザから編集できないことが分かった(ただしファイルの閲覧とダウンロードは可能)。

 Office Web Appsは、Windows Liveの登録ユーザーが利用できる。マイクロソフトでOffice Web Appsを担当するプログラムマネジャーのニック・サイモンズ氏は、「Office Web Apps」ブログの10月20日付の記事で、このプログラムのテクニカルプレビューは「一定の期間だけ」対象ユーザーが拡大されたと述べている。

 マイクロソフトは9月17日に、機能を限定したOffice Web Appsのテクニカルプレビュー版をリリースした。フルバージョンは2010年上半期にリリースされる予定。プレビュー版では機能が極めて限定されており、「Word Web App」によるドキュメントの閲覧、および「PowerPoint Web App」と「Excel Web App」によるドキュメントの閲覧と編集だけが可能となっている。マイクロソフト幹部はeWEEKの取材に対し、「OneNote Web App」のプレビュー版は後日、特定の開発目標に到達した時点で追加する予定だと語っていた。

 eWEEKでテクニカルプレビュー版のテストを行ったところ、Web Appsのほとんどの機能はマイクロソフトの説明通りに動作することが分かった。このテストの結果は、「Microsoft Watch」ブログで2つの記事(1回目および2回目)に分けて紹介している。しかしファイル拡張子が.pptのPowerPointドキュメントおよび拡張子が.xlsのExcelドキュメントをオンラインで編集しようとすると、Web Appsはエラーメッセージを表示した。

 一方、.pptxおよび.xslxの拡張子のファイルをアップロードした場合、これらのファイルは問題なくオンラインで編集することができた。

 この問題についてマイクロソフトに質問したところ、「Office Web AppsはOffice 2003およびそれ以降のバージョンで作成されたドキュメントをサポートする」と同社の広報担当者は答えた。「しかしOffice Web Appsは、.docx、.pptx、.xslx形式のファイルの編集と保存用に最適化した。Open XMLファイルフォーマットは、文書の長期的な保管とアクセス性をサポートするための重要な機能を備えるとともに、全般的に優れた読み書きパフォーマンスを実現するからだ」

 マイクロソフトのユーザーの多くは、プロダクティビティ製品としてOffice 2003あるいはそれ以降のバージョンを利用しているが、それよりも古いバージョンを使っている一部のユーザーの場合、少なくともテクニカルプレビューの段階では、Web Appsの利用に制約がある。米調査会社Gartnerの最近の報告書によれば、業務用PCの80%は今でもWindows XPで動作しており、Deutsche Bankの調査報告書によると、2008年の時点で企業のPCの平均使用年数は6.1年だった。

 マイクロソフトによると、Web Appsのフルβ版は年末までにリリースされる予定だ。テクニカルプレビュー版では機能が制限されているものの、クラウドベースのプロダクティビティ分野への進出を目指したマイクロソフトの作戦をそこからうかがい知ることができる。この分野はすでに、Google Appsをはじめとする無償のアプリケーションによって支配されている。

 マイクロソフトは、ブラウザからアクセス可能な機能縮小版のOfficeアプリケーションを提供することにより、クラウドプロダクティビティ市場のシェアを確保したいと考えているようだ。Office Web Appsは、Internet Explorer(IE)、Safari、FirefoxといったWebブラウザをサポートする。また、複数のユーザーが同時にExcel Web AppやOneNote Web Appのドキュメントをブラウザ内から編集し、さらにExcelのデータやPowerPointのプレゼンテーションをサードパーティーのWebサイト、ブログ、Wikiなどに発行することができる。これらのドキュメントに埋め込まれた情報は、変更が行われると自動的に更新される。

 こういった機能に加え、デスクトップ用Officeのような使用感を与えるために標準仕様のツールバーがWeb Appsに組み込まれているが、マイクロソフトはフルバージョンの「Office 2010」で利用できる機能の一部をオンライン版には含めない方針だ。来年にリリースされるOffice 2010では、同社はホスティング型サブスクリプションサービスとオンプレミス(社内保有)型アプリケーションの両方の形態で提供する予定だ。

原文へのリンク

(eWEEK Nicholas Kolakowski)

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