日本インフォア、IFRS対応を支援する新製品を発表「Infor Advanced General Ledger」で複数元帳機能を提供

» 2009年11月06日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 日本インフォアは11月6日、国際会計基準(以下、IFRS)に対応した複数元帳機能を提供するアプリケーション「Infor Advanced General Ledger」を発表した。企業の既存会計システムに追加することで、1つの会計データから、種類の異なる会計基準に応じた複数の会計データを生成し、それぞれの総勘定元帳に自動的に転記できる。これによりIFRS対応をはじめ各国の会計基準に応じた元帳の作成を大幅に効率化するという。2010年2月末に発売する。

 IFRS対応のためには、各国拠点における税務基準ベースの報告だけではなく、IFRSでグループ全体の連結ベースの報告も行う必要がある。このためには、各国拠点の会計データを一元管理するとともに、1つの会計データから複数の会計基準に応じた会計データを自動的に生成し、それぞれの元帳に保持する複数元帳機能が不可欠となる。

 しかし現実には、各国の拠点ごとに異なる会計システムを使っており、会計データの一元管理や、グループ全体での連結管理に課題を抱えている例が多い。複数元帳機能についても、「既存ERPに組み込まれているケースもあるが、種類が異なる元帳への自動転記や、勘定科目コードの自動組み換えなどがサポートされていないことが多く、ユーザーの負荷が大きくなりがちだった」(日本インフォア インダストリーソリューション・ビジネスコンサルティング本部 執行役員 本部長 笹俊文氏)という。

写真 日本インフォア インダストリーソリューション・ビジネスコンサルティング本部 執行役員 本部長 笹俊文氏

 Infor Advanced General Ledgerを、各拠点の既存会計システムに追加すれば、各システムの会計データを収集、一元管理することが可能となる。また、勘定科目体系や会計期間、通貨などが異なっている複数の会計元帳を、会計システムにあらかじめ定義しておくことで、各元帳に応じた会計データを自動的に生成し、各元帳に記録できるようになる。

 これにより「例えば『IFRS用』と、日本の会計基準に基づく『各国拠点の単体決算用』といった複数の元帳を、既存の会計システムをアップグレードしたりカスタマイズしたりすることなく、容易に作成できるようになる」(笹氏)という。

 “イベントドリブン型”であることも大きな特徴だ。既存会計システムにおいて新たな仕訳が発生するたびに、Infor Advanced General Ledgerがそのデータを収集し、各元帳に記録する。すなわち、ほぼリアルタイムで会計データを把握・管理することができるという。さらに、「製品グループ」「地域」「プロジェクト」「部門」といった分析用コードを最大30種類、任意に設定し、保持することも可能だ。これを使って仕訳データを分類・集計することで、詳細なセグメント分析ができるという。

写真 Infor Advanced General Ledgerを使って、グローバルの会計データを一元管理することで、IFRS対応のほか、シビアな業績管理も支援する

 なお、既存会計システムと連携させる際は、米インフォアが独自開発した「OnRamp」と呼ぶJavaのコンポーネントを既存システムのソースコードに埋め込み、これを介してInfor Advanced General Ledgerにデータを送る形となる。これにより、あらゆる既存製品に対応できるほか、「OnRamp」のソースコードを開示しているため、ユーザー企業の独自システムにも対応できる。

 笹氏は、「Infor Advanced General Ledgeは、複数の会計基準に適応した財務情報管理と、複数の勘定科目表、通貨、会計期間の制御によって、IFRS対応を大きく後押しする」と力説。また、会計情報の一元管理、可視化によって「シビアな業績管理にも貢献する」とアピールした。

 現時点では価格は非公表だが、既存会計システムがインフォア製品の場合は、ライセンス・保守契約の範囲内で無償で提供し、他社製品の場合は個別見積もりになるという。

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