グーグルの「Nexus One」でも、すでに稼働
iPhone逆転のカギ? AndroidはフルFlash搭載へ
2010/01/06

かねてからの噂どおり、グーグルは1月5日、Android OS 2.1搭載を搭載した独自のスマートフォン「Nexus One」を発表した。HTCと協力してデザインした端末で、SIMロックフリー版の提供や、3.7インチ(480×800ドット)の有機ELや、従来のAndroidベースのスマートフォンに比べて高速な1GHzのSnapdragon(ARM)を搭載するなど、注目の製品だ。
グーグルがハードウェアビジネスに参入したという点や、ソフトウェア(サービス)面でも、注目ポイントが多いが、iPhoneとの競合という側面から考えたときに、Nexus Oneで目を惹くのはAdobe Flash 10.1の動向だ。Nexus One発表のタイミングに合わせてアドビ システムズが公開したビデオを見る限り、早期バージョンのFlashは、すでにスムーズに稼働している。Flash 10.1はGPUを活用するため、SnapdragonやTexus InstrumentsのOMAPなどネットブック、スマートフォン向けのプロセッサで実行効率が良いという。
ビデオに登場するFlashチームのエイドリアン・ルードヴィヒ(Adrian Ludwig)氏によれば、Nexus Oneに対しては今後ワイヤレスによるバージョンアップでFlashを提供する予定だという。
Flash 10.1は、2009年10月にアドビが発表した製品で、Windows、Mac、Linuxといったデスクトップ向けをはじめ、Windows Mobile、Palm webOS、Android、BlackBerryなどスマートフォン向けにもリリース予定という。
Flash 10.1は業界団体「Open Screen Project」の初の成果物で、ここにグーグルをはじめとする主要プレイヤーが50社参加していることをアドビは強調している。しかし、同プロジェクトが発足した2008年5月時点では、グーグルやRIM(BlackBerry)はプロジェクトに参加していなかった。グーグルが参加を表明したのは2009年10月になってからに過ぎない。グーグルはHTML5開発・策定のリーダー的存在で、Webアプリケーションのプラットフォームとしては、Adobe Flash/AIRやMicrosoft Silverlightと競合する。グーグルが、Nexus OneをはじめとするAndroid端末、あるいは開発中と噂されているChrome OSベースのタブレット型端末の競争力のために、Flashを支持するという判断をしたのではないだろうか。
iPhoneにFlashを搭載できないジレンマ
一夜にしてスマートフォン市場の勢力図を塗り替え、圧倒的な強さを見せつけてきたiPhoneだが、雲行きが変わってきた。
1つは、Android市場が立ち上がり始めていること。モバイル広告配信のAdMob(グーグルが買収を発表している)の1月4日の最新データによれば、ワールドワイドでのAndroidからのリクエストが10月から12月の2カ月だけで97%増と、ほぼ倍増したという。
主因はモトローラが2009年11月に発売したAndroid端末「DROID」などによるもので、AdMobネットワーク全体の39%を占めるまでに至っているという。上のグラフの水色の部分にあるように、「その他(other)」も急増。HTC製端末だけだったところに、サムスン製やモトローラ製の端末が加わったことで市場が活性化している様子が読み取れる。今後はソニー・エリクソンが独自UIを搭載した「XPERIA」を投入予定であるほか、国内でもシャープやNECが参入を表明するなど、マルチプレイヤーによる多様なデイバスの提供というAndroid本来の市場が登場しつつあると言える。
Androidが伸びを見せる中、顕在化してきそうなのがiPhoneが抱えるジレンマだ。
アップルはiPhoneへのAdobe Flash搭載を拒否し続けている。Flashに限らず、VMなどアプリケーションの実行環境を含むソフトウェアの配布を禁じるライセンスを堅持しているのだ。これはApp Storeの成功を見れば一目瞭然だが、ビジネス上の合理性がある。
これに対して、Androidは各社がマーケットに取り組んでいるものの、Androidアプリにこだわるよりも、「フルのWeb体験」を優先するほうが合理的だ。Nexus Oneは、WebKitとFlashの搭載、ワイドVGAという一昔前のノートPC並の画面サイズにより、PCと同等のWeb体験を実現する初めてのスマートフォンとなり得る。これはFlash広告を多用しているメディア企業にとっても重要な意味を持つだろう。
米紙Wall Street Journalの報道によれば、2010年1月末日にはアップルがサンフランシスコで製品発表会を開催すると見られ、ここでiPhoneの新バージョンや「iSlate」(登場が噂されているタブレット型デバイス)が登場しそうだ。しかし、Mac OS Xベースと言われるiSlateは別として、iPhoneでのFlashサポートをアップルが突如表明するとは考えづらい。これまで育ててきたiPhoneアプリのエコシステムを一気に壊しかねないからだ。
Nexus One単体でもインパクトは十分だが、Flashやアプリケーション配信のエコシステムという軸を巡って、スマートフォン市場のパワーバランス変化は必至の情勢だ。
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