NEC、中堅中小企業向けSaaS事業を強化2012年度までに200億円強の売り上げ目指す

» 2010年02月15日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 NECは2月15日、中堅中小企業向けサービス事業を強化すると発表。その第1弾としてSaaSを軸とした中堅中小向けソリューションを体系化するほか、パートナー経由販売を支援する200名規模の専門部隊を組織するとした。

龍野氏写真 NEC ITサービスビジネスユニット 執行役員 龍野康次郎氏

 今回NECが注力するのは、「SaaSを軸にした中堅中小向けソリューション」と「パートナー支援プログラム」の2点。SaaSを軸にした中堅中小向けソリューションでは、基幹システムを中核に約50種類のSaaSアプリケーションをメニュー化するほか、パートナーが保有するアプリケーションをNECのサービス基盤上で提供する。パートナー支援プログラムでは、パートナーのサービス開発・支援体制を強化するため200人規模の専門部隊を確立するほか、NEC SaaSパートナープログラムを新設する。

 NEC ITサービスビジネスユニット 執行役員 龍野康次郎氏は、「“クラウド”はITにおける第4の波。NECは企業向けクラウドを注力分野とし、フロントオフィスからバックオフィスまでを、『SaaS』『共同センタ』『個別対応』の3種類の形式で提供する。特に中堅中小企業向けにはSaaS形式で、ユーザーのIT部門の仕事を一括サポートする」と説明した。

 具体的には、中堅中小企業向けに同社の基幹系サービス「EXPLANNER for SaaS」を中核にしたSaaSソリューションを、現在の15種類から2010年度上半期中に約50種類に増やす予定。特に、「経営の可視化」「ワークフロー」「業種別テンプレート」「勤怠管理」といった基幹業務を中心に拡充を予定している。龍野氏は、「他社も中堅中小企業向けSaaSに取り組んでいるが、最大の差別化ポイントは基幹業務系の充実度だ。特に差別化になるポイントに『物流業務』や『ワークフロー』が挙げられる」と語った。

 パートナー企業による既存アプリケーションのSaaS化を支援するためのサービス基盤を提供する。具体的には、中堅中小企業向けに提供するサービス基盤上で、パートナー企業が所有するパッケージソフトをSaaSアプリケーションとして提供できるようにする。

 そのほか、パートナー支援プログラム「NEC SaaSパートナープログラム」を新設。パートナーのサービス企画開発やサービス運用、高回転営業ツールなどを提供し、パートナーのSaaSビジネスを200人規模の専門部隊を新設して支援する。

 NECでは、売上高30億〜100億円規模の企業を“中小企業”、50億〜500億円規模を“中堅企業”と定義。中小企業をパートナーに任せ、中堅企業はNECとNECネクサソリューションズで担当する。中堅企業へは2012年度に2300社、中小企業が2012年度に3万3000社、売上合計200億円以上を目標にする。

 NECネクサソリューションズ 代表取締役 執行役員社長 森川年一氏は、「現在、NECグループでは約4000社がASPを利用している。また、現在200〜300社を調査しているが、『中小企業は人事給与などに月額10万円くらいまで』『中堅企業だと月額40万円まで』といった感触を感じている。それらを踏まえて、企業数から想定すると200億円以上の規模にできるはずだ。NECが提供するということで、日本企業には『安心感』と『安全性』を提供できるはずだ」と語り、現状分析と抱負を示した。

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