2010年の国内市場戦略を発表

デスクトップ仮想化は「今年後半爆発的に伸びる」、シトリックス

2010/02/25

 シトリックス・システムズ・ジャパンは2月24日、2010年の戦略として「デスクトップイノベーション」を発表した。同社は2010年をデスクトップ仮想化元年ととらえ、デスクトップ仮想化の展開に注力するという。

 米シトリックスCEOのマーク・テンプルトン(Mark Templeton)氏は日本に向けたビデオメッセージで、ITが急速にサービス化に向かっていると話した。「データセンターはもはやサーバを配置する場所ではない。ITサービスをデリバリする(届ける)場所、すなわちデリバリ・センターだ」(テンプルトン氏)。ITをオンデマンドなサービスにするのが同社の目指す方向性だという。この変革には、特に若い世代がセルフサービスを望むことが大きな影響を与えているとする。

 シトリックス・ジャパンのマイケル・キング(Michael King)氏は、この動きを「コンシューマライゼーション」という言葉で説明した。これはコンシューマの世界で普及した技術がエンタープライズ分野でも普及することを表した言葉だ。一般ユーザーは、企業の外では即座に、かつ安価にコンピューティングサービスを受けることができるようになった。こうした環境に慣れたユーザーに対応するため、旧態依然としたエンタープライズ・コンピューティングも、仮想化技術を活用したオンデマンドな形態へと向かわざるを得ないという。

 シトリックスは、コラボレーション、デスクトップ、インフラ(サーバ)、ネットワークと、幅広く仮想化技術を提供している企業だ。そのなかでも特にデスクトップ仮想化に力を入れるというのがシトリックス・ジャパンの今年の戦略だ。

 シトリックス・ジャパンの2009年の売り上げは、厳しい経済状況にもかかわらず伸びているが、この伸びはターミナルサービス型シンクライアント製品「Citrix XenApp」に支えられている。一方、米国などでは、デスクトップ仮想化の「Citrix XenDesktop」が急速に普及を始めていて、日本は後れをとっている状況だ。しかし日本でも大規模なXenDesktopの引き合いが増えており、「今年後半には(日本でも)爆発的に伸びる」(シトリックス・ジャパン 副社長 木村裕之氏)という。

 今年1月にシトリックス・ジャパンに入社した木村氏は、営業/サービス部門を統括する立場から、同社の戦略を実行するための4つの柱を説明した。

 1つはエンタープライズ営業の推進。XenAppは大企業でも部門レベルやリモートアクセス用途での導入が多いが、XenDesktopでは全社レベルでの導入がカギとなる。このため、同社は現在10人に満たない営業部隊を3倍に増強、約200社をターゲットとしてSI業者と協力しながらハイタッチ営業を進める。

citrix01.jpg 大企業を産業セクター別に攻める

 次にアップセル/クロスセルの推進。XenAppの既存顧客に対し、積極的にXenDesktopへの移行を働きかけ(XenDesktopの通常ライセンスはXenAppライセンスを含んでいる)、各顧客におけるシトリックス・ソリューションの導入規模拡大を目指す。具体的には、サービスアシュアランス契約が有効なXenAppライセンスすべてをXenDesktopに移行する場合、2倍の数のライセンスを手にすることができるなどのトレードアッププログラムを展開していく。

citrix02.jpg トレードアッププログラムは、最大80%のコスト低減につながるという

 また、XenDesktopとともに、WAN最適化製品「Citrix NetScaler」や仮想化管理ツール「Citrix Essentials」なども推進する。

 3つ目はDaaS(Desktop as a Service)やクラウドのビジネスの拡大。新日鉄ソリューションズやNTTデータ、ブロードバンドタワーなど、シトリックス製品を使ったサービスの提供を表明する企業が続出している。この動きを加速化する。

 4つ目はサポートおよびサービスの強化。シトリックス・ジャパンでは、顧客に対し、ROI算出などの上流工程に関するコンサルティングを提供。その後はSI業者に引き継ぐ形態をとる。また、顧客に専任の担当者を割り当てて、ニーズに応じたサポートを提供する「テクニカル・リレーションシップ・マネージメント」サービスも展開する。

 最重要パートナーであるマイクロソフトとは、共同でデモや検証、販売/プロモーション、全国でのセミナー実施といった活動を進めていくという。

(@IT 三木泉)

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